研究実績の概要 |
目的:。SDF-1は間葉系幹細胞や血管内皮細胞の遊走誘導に関与することが知られている。SDF-1の発現がFGF-2で抑制されることを示したが、抑制機構は不明である。そこで今年度は、FGF-2によるSDF-1の抑制機構の解析を行った。 材料と方法:歯根膜細胞として、ヒト乳歯由来不死化歯根膜細胞株SH9を使用した。FGF-2によるSDF-1の抑制機構の解析に、各種阻害剤を投与して検討を行った。 結果および考察:FGF受容体の阻害剤としてAZD4547を使用し、FGF-2の作用を阻害した。しかしSB203580(p38 MAPK阻害剤), PD98059(ERK阻害剤), SP600125 (JNK阻害剤), LY294002(PI3K阻害剤), FAK inhibitor 14(FAK阻害剤), Staurosporine(PKC阻害剤), STO-609(CamK Ⅱ阻害剤) , U-73122(PLCγ阻害剤)はFGF-2の作用を阻害しなかった。PP2(Src阻害剤)は約50%回復し、AZD1480(Jak阻害剤) はFGF-2の作用を阻害した。またFGF-2を投与した際、細胞形態が細長くなるため、細胞骨格の阻害剤としてcytochalasinD, RKI-1447(Rho kinase阻害剤XⅢ)および細胞増殖阻害剤としてFludarabine, α-amanitin(RNA polymerase Ⅱ阻害剤)を使用したが、FGF-2の作用を阻害しなかった。primer arrayを行い、その結果の確認を行った結果、SOCS2がSDF-1 の発現と同期していたが、niclosamide(STAT3阻害剤)を使用してもFGF-2の作用を阻害しなかった。 以上の結果から逆に、SDF-1の発現機構には複雑なメカニズムが存在することが考えられた。
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