研究課題/領域番号 |
25463183
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
木内 奈央 徳島大学, 大学病院, 助教 (30457329)
|
研究分担者 |
田中 栄二 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40273693)
川合 暢彦 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (40437588)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | RNAi / 骨格筋 |
研究実績の概要 |
カチオン性脂質であるDC-6-14、中性脂質であるCholesterol、DOPE、POPCがin vivoにおけるsiRNA導入に至適な2:3:3:2のモル比で調製されたリポソームを組織傷害の少ない最適濃度のデリバリーとして本研究で用いることとした 。siRNAは、Mstに特異的なMst-siRNAとネガティブコントロールであるscrambled siRNA(scr-siRNA)を使用した。そこで、野生型マウスと同様に20~25週齢の筋ジストロフィーモデルマウスであるmdxマウスの左側咬筋にMst-siRNAとカチオン性リポソームの複合体(Mst-siRNA-lipoplex)を局所導入した。同一個体の右側咬筋にはscr-siRNAとカチオン性リポソームを導入し対照側として用いた。局所投与して3日後にマウス咬筋を採取し、生化学的 ・組織学的解析を行った。組織学的解析として、採取した対照側あるいはMst-siRNA導入側、各咬筋について切片を作製しHE染色を行い、筋線維直径および断面積の計測とその分布様相を解析した。生化学的解析として、遺伝子発現に対するRNAiによる為害性の有無を検討するため、Mst発現レベルをリアルタイムPCRシステムにて解析した。その結果、Mst-siRNA-lipoplex投与側咬筋は、顕著なMstの発現抑制とともに組織学的に筋線維の増大を伴った骨格筋量の増加を認めた。また、筋分化関連遺伝子myoD、myogeninの発現レベルが上昇し、骨格筋形成が促進されていることが示唆された。 現在、野生型マウスおよびmdxマウスの背部にテレメトリーシステムを埋め込むとともに送信機につながった記録用針電極を咬筋に刺入して1週間の記録(control data)をとった後、siRNAを局所投与し、約3週間終日筋電図を測定して筋機能の回復度を検討している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
筋ジスモデルマウスの背部にテレメトリーシステムを埋め込むとともに、送信機につながった記録用針電極を咬筋に刺入して、筋機能の回復度を検討することとしたが、control dataおよびsiRNAの局所投与後終日筋電図を測定する期間の条件を検討するのに予定より多くの時間を費やしてしまった。
|
今後の研究の推進方策 |
野生型マウスおよび筋ジストロフィーモデルマウス(mdx mouse)を用いて、合成二本鎖siRNA(scr-siRNA およびMst-siRNAとしてMst-siRNA)をリポソームと混合し、全身応用として眼窩下静脈叢よりこれらの複合体を投与することにより、マウス骨格筋量および筋機能に与える影響を検討する。 組織学的解析として、siRNAの全身導入から1週間および2週間経過時に、マウス咬筋および脛骨筋を採取し、上皿自動天秤を用いて骨格筋重量を測定する。また、対照群(scr-siRNA導入群)あるいはMst-siRNA導入群、それぞれの筋について切片を作製しHE染色を行い、筋線維直径および断面積の計測とその分布様相を解析する。生化学的解析として、マイオスタチン遺伝子に対するRNAiによる筋分化への影響を検討するため、採取したマウス組織よりtotal RNAを抽出し筋分化マーカーであるMyoDファミリーに属する遺伝子(MyoD, myogenin)の発現レベルをリアルタイムPCRシステムにて解析する。さらに筋機能回復度の検討として、siRNAの全身導入から2週間後、マウス脛骨筋を腱と頸骨ごと採取し、脛骨筋の重量 、テンションを加えた時の伸展量、電気刺激を与えた時の振れ幅をもとに筋張力(specific force)を算出する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
テレメトリーシステムを用いた筋機能回復度の測定条件を検討するのに予定より多くの時間を費やし、当初予定していたin vivoにおける実施が遅れたため、マ ウスの購入や筋機能解析で必要となる物品費等を使用する機会が少なかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
野生型マウスおよび筋ジストロフィーモデルマウス(mdx mouse)を用い、リポソームを併用したMst-siRNA全身導入がマウス骨格筋量および筋機能に与える影響を検討する。 そのため、野生型マウスおよび筋ジスモデルマウスの購入、HE染色などの組織学的解析やリアルタイムRCRによる生化学的解析で使用する抗体、さらには筋機能回復度の検討として筋張力(specific force)試験やテレメトリーシステムにて使用する物品等を購入する予定である。
|