研究課題/領域番号 |
25463186
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
安永 敦 九州大学, 歯学研究科(研究院), 研究員 (80515990)
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研究分担者 |
高橋 一郎 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70241643)
星 健治 九州大学, 大学病院, 助教 (90569964)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 軟骨細胞 / メカニカルストレス |
研究実績の概要 |
これまでの研究から、軟骨細胞の分化は、機械的伸展刺激を負荷することにより阻害される一方、圧縮刺激により促進されることが分かってきた。しかし、軟骨細胞の指向性のある機械的刺激応答のメカニズムについては全く分かっていない。本研究では、軟骨細胞の極性と機械的刺激に対する応答特性の違いに着目し、三次元コラーゲンゲル培養法とタイムラプス顕微鏡を組み合わせ、軟骨細胞の分化メカニズムと細胞極性や細胞内情報伝達分子との関わりに注目し、機械的刺激応答の分子メカニズムの解明をめざす。これにより、軟骨細胞分化を制御し、顔面骨格組織の成長制御を可能とするための基盤的理論を確立する。 軟骨胞分化における機械的刺激応答機構をリアルタイムに検討するため、顕微鏡下で単一細胞を観察しながら機械的刺激を負荷した。機械的刺激負荷装置としては、蛍光顕微鏡とマイクロマニピュレーターにて構築した装置を用い、GFP標識ERKおよびDsRed標識II型コラーゲンプロモーター発現するATDC5細胞をコラーゲンゲルに埋入した培養チャンバーを、マイクロマニピュレーターで水平方向への力を負荷したところ、細胞の位置は著しく変化したが、伸展率の指標として埋入している蛍光ビーズにより細胞周囲の伸展率を評価したところ、これまでの研究より低いものであった。また、水平方向への伸展により、伸展方向に垂直な方向には圧縮力が加わっている可能性が認められたため、培養チャンバーの構造とマイクロマニピュレーターとの接合部に関して、再検討を行った。培養チャンバーとマイクロマニピュレーターとの接合部のアダプター部分の再設計は完了し、現在、作製中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
蛍光顕微鏡とマイクロマニピュレーターにて構築した機械的刺激負荷装置を使用して、GFP標識ERKおよびDsRed標識II型コラーゲンプロモーター発現するATDC5細胞をコラーゲンゲルに埋入した培養チャンバーを、マイクロマニピュレーターで水平方向への力を負荷したところ、細胞の位置は著しく変化したが、伸展率の指標として埋入している蛍光ビーズにより細胞周囲の伸展率を評価したところ、これまでの研究より低いものであった。また、水平方向への伸展により、伸展方向に垂直な方向には圧縮力が加わっている可能性が認められたため、培養チャンバーの構造とマイクロマニピュレーターとの接合部に再検討が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
改良した培養チャンバーの完成後は、再度、伸展率の確認をし、実際に細胞に伸展力が加わっていることを確認する。生細胞を標識する蛍光試薬を用いて、軟骨細胞分化に伴う細胞極性の獲得過程を可視化する。脂質膜および核を、それぞれPHK26もしくはPHD67およびCYTO13もしくはCYTO17によって標識し、細胞分化と細胞形態の変化をリアルタイムで観察することにより、軟骨細胞の分化過程、細胞極性獲得過程、および機械的刺激応答特性を解析する。 また、マイクロマニピュレーターのチップ先端に対して、全く加工を行わない物と、GRGDSPKペプチドあるいはGRADSPKペプチドなど、インテグリンと結合するペプチドをコートし、細胞膜の接着を誘導し、マイクロマニピュレーターを操作することにより細胞の接着力や細胞形態の評価、それに伴うGFP標識ERKの局在やDSRed標識II型コラーゲンプロモーターの活性についての検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
培養チャンバーの再製作を行ったことで、今年度行う培養実験に用いる消耗品の購入が減少したため。
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次年度使用額の使用計画 |
培養チャンバー再製作の費用、および培養実験に使用する消耗品を購入する予定である。
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