研究概要 |
本研究課題では、脱落乳歯由来幹細胞(stem cells from human exfoliated deciduous teeth; SHED)の抗酸化ストレス作用および多分化能による抗老化作用の可能性を検索するとともに、老化制御機構の解明を目的とする。早期に老化現象が出現する早老症モデルマウスにSHEDやSHEDから分化誘導したインスリン産生β細胞を移植して、モデルマウスにける各臓器の活性酸素種の産生抑制や、寿命延長機構に重要な関連を示すインスリンシグナル伝達系を解析するとともに、老化制御に関与する遺伝子やシグナル伝達系の同定と解析を行う。以上のことから、本研究課題では小児歯科的アプローチによる老化現象の解明に挑む。 本年度はヒト乳歯歯髄から通法によりSHEDの単離・培養に成功した。SHEDの特性として、フローサイトメトリーを用いて幹細胞マーカー(STRO-1, CD146, CD73, CD105:陽性マーカー)や造血系マーカー(CD34, CD45, CD14, CD11b:陰性マーカー)の発現を確認した。SHEDのDoubling assayとBrdUを用いて自己増殖能の確認した。多分可能の解析として、象牙芽細胞/骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、神経細胞への分化誘導をin vitroで行い、組織特異的マーカーの発現を免疫染色法やウエスタンブロット法、RT-PCR法で検索を行った。 SHEDのβ細胞への分化誘導法を確立するために、骨髄由来間葉系幹細胞でのβ細胞への分化誘導法を参考に、SHEDのβ細胞への分化誘導法を行った。分化誘導後の細胞をRT-PCR法や免疫染色法、ウエスタンブロット法により、β細胞特異的マーカー(Insulin, Pdx-1, Nkx6.1, Glut2など)の発現を確認したが、結果は陰性であった。
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