研究分担者 |
星野 倫範 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (00359960)
齋藤 幹 東北大学, 大学病院, 講師 (40380852)
西口 美由季 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10253676)
藤原 卓 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (00228975)
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研究実績の概要 |
早期発症型小児齲蝕(Early Childhood Caries; ECC)は,早期から発症する重症度の高い齲蝕で,小児歯科領域で近年問題となっている病態の一つである.このECCは疫学的調査において,乳幼児期の誤った授乳習慣や罹患した患児の経済的状態等の社会的要因との関連性が指摘されている.しかし齲蝕の原因菌はミュータンスグループレンサ球菌であるという前提をそのまま採用しており,改めて細菌学的な視点でECCの原因菌を追及した研究はあまりない.本研究では,ECCを発症した小児の口腔細菌叢をメタゲノム解析を行うことによって,その原因となる細菌を再考察することを目的とした. ECCを発症した患児の口腔内からプラークあるいは全唾液のサンプリングを行い,細菌DNAを抽出し,その抽出DNAをテンプレートとして16S rRNA遺伝子のメタゲノム解析による網羅的な細菌叢解析を行った. ①ECCを発症した小児の中で,ミュータンスグループレンサ球菌が検出されない小児が認められた.また全ての小児で乳酸桿菌は検出されなかった.②ミュータンスグループレンサ球菌が検出された小児の口腔細菌叢の平均検出種別は上位より, 属レベルでStreptococcus, Abiotrophia, Neisseriaの順であった.一方ミュータンスグループレンサ球菌が検出されなかった小児では同様に, Streptococcus, Gemella, Rothiaであった.健常小児ではStreptococcus, Neisseria, Veillonellaの順であった.③ECCを発症した小児では,健常小児と比較してStreptococcus属の割合は多い傾向にあった. ECCに罹患している小児間での菌種構成の違いが,ECC発症に影響を及ぼしていると考えられた.
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