研究課題/領域番号 |
25463191
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
高田 寛子 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (80634229)
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研究分担者 |
大牟禮 治人 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (00404484)
永山 邦宏 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (60583458)
宮脇 正一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80295807)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯科矯正学 / 咀嚼 / 消化管ホルモン / 消化管運動 / 咀嚼筋障害 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、健康な成人男性と咀嚼障害を有する男性患者を対象に咀嚼筋障害の症状と上部消化管の症状や機能に相関があるのかを検証することである。その際、消化管ホルモンの血中濃度測定には長時間の経時的採血が必須となるが、ヒトにおいて消化管ホルモンの血中濃度を評価する非侵襲的手法は未だ確立されていないため、通常の穿刺による採血を高頻度に行うことは被験者に与える苦痛が極めて大きい。そこで、本年度は低侵襲で安定した経時的採血の解析手法について検討した。健康な成人男性を対象とし経時的採血は刺入時の疼痛による影響を排除するために上腕部に刺入した静脈留置針を用いて行った。術者は被験者に留置針と接続した延長カテーテルからシリンジを用いてサンプルを採取した。採血間隔は15~30分とし、採血時以外はカテーテルに生理食塩水を30ml/hで注入した。2回目以降のサンプル採取時には、直前にカテーテル内の生理食塩水をシリンジで除去し、その後サンプル採取を行う必要があるが、閉塞防止用の生理食塩水が計測値に与える影響を検討するため、生理食塩水の除去量を2ml~6ml間で変えたときの血液成分の変化を血糖値を代用指標として測定した。 血糖値を指標とした測定値への影響については、除去する生理食塩水の量が2mlの場合は6mlと比べ5%以上低い値を記録したが、3mlでは6mlとの差は5%以内で、4mlでは4%以内、5mlでは2%以内であった。また、測定値のバラつきについては、2mlがもっとも大きく、3ml以上では除去量が大きくなるに従ってバラつきが小さくなる傾向が認められた。実験中の痛みについては、採血中であっても痛みや不快感を訴えるものはほとんど認められなかった。今後は本方法を用いた静脈血の経時的採血と13C呼気試験法や胃電図、心電図の測定を行い、咀嚼が胃の機能に与える影響を多面的に評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
呼気試験法、咀嚼筋活動および胃電図の測定は我々の先行研究で行っていたため、手技が確立しているが、長時間の血中ホルモン濃度の測定は行っていなかったため、その手技や測定方法の確立に時間がかかった。また、被験者がなかなか集まらなかったため、データ収集に時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は消化管ホルモンなどの内分泌に与える影響および咀嚼筋障害へのアプローチに関して一部未達成の項目が残った。これらの項目については、次年度以降に引き続きデータ収集を行い、分析を行う予定である。また、被験者をより多く集めるために広告媒体を工夫し、本研究の周知してもらう予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は実験で使用する物品、消耗品を主に購入した。高額な機器は共同で使用する予定であるため、消耗品等は品質は同等でも安価なものを選んだりしたことと、まだ被験者が少ないため、謝金等が予定額よりも低くなったことが次年度使用額が生じた理由であると思われる。
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次年度使用額の使用計画 |
今後はこれまで確立した実験手技でデータの採取・分析を行っていく予定であるため、消耗品および物品の購入、被験者の謝金および消化管ホルモン解析に主に使用する予定である。
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