研究課題/領域番号 |
25463199
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
清水 武彦 日本大学, 歯学部, 准教授 (40328761)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 先天欠如歯 / マウス / 遺伝子発現 / 第三臼歯 |
研究概要 |
本研究の目的は、100%の頻度で最後臼歯である第三臼歯を先天的に欠如しているELマウスを用い、先天欠如歯発症の遺伝要因を解明し、ヒトの歯の先天欠如の原因解明の足がかりとすることである。ELマウスの先天欠如歯発症の原因遺伝子がLef1、Hadh、Cyp2u1、Sgms2、Papss1のいずれかである可能性を申請者は過去に報告している。そのため、平成25年度ではこれら5候補遺伝子のELマウス第三臼歯歯胚における遺伝子発現解析を行い、コントロールとの発現の差を明らかにすることを試みた。ELマウスの第三臼歯歯胚の発達はbug stageで停止しcap stageに移行しないことを申請者はすでに確認している。そのため、候補遺伝子の発現解析では、bug stage からcap stageへと移行する生後4日の第三臼歯歯胚をELマウスとコントロールマウスより採取した。トータルRNAを抽出し、RT-PCR解析およびReal-time PCR解析を行った。またDNAマイクロアレイにより網羅的解析を行った。結果として、Lef1の第三臼歯歯胚での発現量がコントロールマウスに比較し有意に低かった。Hadh、Cyp2u1、Sgms2、Papss1ではELとコントロールに発現量に有意差は認められなかった。DNAマイクロアレイ解析でも同様な結果が得られ、ELのLef1の発現量低下と同時にFgf20, Fgf4の発現量が顕著に低下していた。これらの結果から、Lef1の発現量低下によりその下流のFgf4も活性化されず、ELマウスの第三臼歯歯胚の発育が停止する可能性が示唆される。Lef1タンパクの免疫組織化学染色を行ったが、この方法ではELとコントロールに大きな差は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の達成度はおおむね順調であり、RT-PCR解析およびReal-time PCR解析でELマウスの第三臼歯歯胚のLef1遺伝子発現が低下しているという結果は予想される結果であり良好であった。しかし、Lef1の免疫組織化学染色においてELとコントロールに差がみられず、これの反復に多くの時間を費やしたため、in-situ hybridizationを行うに至らなかった。現在条件設定の段階である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度はターゲット遺伝子の発現解析をRT-PCR法およびin-situ hybridization法を用いて継続して行い、またダイレクトシークエンス法により遺伝子変異解析を行う予定である。DNAマイクロアレイの結果から、Fgfs、特にFgf20、Fgf4、Fgf9がELマウス第三臼歯の欠如に関与している可能性が新たに浮上してきたため、これらの遺伝子発現解析をリアルタイムPCR法およびin-situ hybridization法を用いて、当初の計画に追加し行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度にELマウスの第三臼歯欠如に関わるターゲット遺伝子の発現解析をin-situ hybridization法によって行う予定であったが、その他の発現解析、すなわちRT-PCR解析、リアルタイムPCR解析、免疫組織化学染色法の反復検証に多くの時間を費やし、研究に遅れを生じ実施することができなかったことが理由である。 平成26年度にELマウスの第三臼歯欠如に関わるターゲット遺伝子の発現解析をin-situ hybridization法により行い、またDNAマイクロアレイ解析の結果から新たにターゲット遺伝子として示唆されたFgfs、特にFgf20、Fgf9、Fgf4についてRT-PCR解析、リアルタイムPCR解析、in-situ hybridization法による解析を行うことにより当該助成金を使用する計画である。
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