研究課題/領域番号 |
25463200
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山口 大 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (60333100)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 歯根吸収 / 矯正力 / Notchシグナル / RANKL / IL-6 |
研究概要 |
【目的】細胞表面受容体であるNotchは、膜結合型リガンドであるDeltaやJaggedにより活性化され、骨芽細胞・破骨細胞の分化に関与する。また、ヒト歯根膜由来細胞 (hPDL cells)において、Parathyroid Hormone-related Protein-C (PTHrP)がJaggedの発現を増加させ、RANKLによって誘導される破骨細胞形成を促進させることが報告されており、Notchシグナルが局所の骨吸収に関与している可能性が考えられる。そこで本研究では、Notchシグナルが矯正学的歯の移動時における歯根吸収に及ぼす影響について検討した。 【資料及び方法】In vivoにおいて、Wistar系雄性ラットの上顎第一臼歯を50gの矯正力にて牽引し、当該部の切片はJagged1、RANKL、IL-6の抗体を用いて免疫組織化学染色を行った。In vitroでは、hPDL cellsに至適矯正力モデルとして1.0g/cm²、強い矯正力モデルとして4.0g/cm²;の荷重(compression forces : CF)を24時間作用させ、CF群とした。 【結果】In vivoでは歯牙移動7日目において、矯正力を加えたラットの歯根吸収部にJagged1、RANKL、IL-6陽性細胞の増加が認められた。 【結論】強い矯正力により歯根膜細胞のNotchシグナルが活性化され、RANKL、IL-6の発現が促進されることで、歯根吸収を引き起こす可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の計画ではアレルギーマウスに矯正力(0~50g)を加え、人為的に歯根吸収を起こさせ、歯根周囲組織のJagged1, Notch1, Notch2,IL-17, RANKL、RANK, OPG, TRAPのタンパク質・遺伝子発現について正常マウスと比較検討することであった。 おおむね25年度の実験計画は予定通り、遂行することができたが、アレルギーマウスについては実験が遂行出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度では25年度に遂行できなかったアレルギーマウスについて矯正力(0~50g)を加え、人為的に歯根吸収を起こさせ、歯根周囲組織のJagged1, Notch1, Notch2,IL-17, RANKL、RANK, OPG, TRAPのタンパク質・遺伝子発現について検討する。 次に、ヒト歯根膜線維芽細胞にcompression forceを加え、RANKLとIL-17の産生量と遺伝子発現量について検討する。アレルギー患者よりCD4陽性細胞を採取し、ヒト歯根膜線維芽細胞と共培養し、compression force を加え、Jagged1, Notch1, Notch2, RANKL, TNF-α、IL-6、IL-17遺伝子発現について検討する。さらに、Notchシグナルの阻害剤であるγ-セクレターゼ阻害剤 (GSI)を添加し、上記因子の遺伝子発現について検討する。採取した培養上清より骨吸収活性ついて検討を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究目的、計画は平成25年度ではアレルギーマウスに矯正力(0~50g)を加え、人為的に歯根吸収を起こさせ、歯根周囲組織のJagged1, Notch1, Notch2,IL-17, RANKL、RANK, OPG, TRAPのタンパク質・遺伝子発現について正常マウスと比較検討することであったが、おおむね実験は計画通り終了しており、ほぼ遂行することができた。 次年度使用額が生じた理由として、正常ラットを用いた実験で実験が順調に進み、予想以上に良いデータが得られた。しかしながら、関節リウマチモデルマウス(SKG/Jcl)、アトピー性皮膚炎モデルマウス(NC/Nga)については実験を行うことができなかったため。 関節リウマチモデルマウス(SKG/Jcl)、アトピー性皮膚炎モデルマウス(NC/Nga)について矯正力(0~50g)を加え、人為的に歯根吸収を起こさせ、歯根周囲組織のJagged1, Notch1, Notch2,IL-17, RANKL、RANK, OPG, TRAPのタンパク質・遺伝子発現について正常マウスと比較検討するため、繰越金813,055円を使用する予定である。
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