研究課題/領域番号 |
25463200
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山口 大 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (60333100)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯根吸収 / 矯正力 / Notchシグナル / Wnt5a |
研究実績の概要 |
本研究の目的は矯正治療による歯根吸収発生メカニズムに対して歯根膜線維芽細胞とIL-17産生ヘルパーT細胞(Th17細胞)におけるシグナル伝達、特にNotchシグナルに焦点を当て歯根吸収時の歯根膜線維芽細胞とTh17細胞におけるNotch とそのリガンドであるJagged1の発現について,細胞生物学的、病理組織学的に検討し、重度歯根吸収発生機構の解明を行う。 平成27年度では、in vivoにおいて, 5週齢のWistar系ラットを用いて上顎第一臼歯を10gの至適矯正力で7日間近心に牽引し, 牽引側の切片はHE染色ならびに、Notchに対して抑制的に働き、骨形成に関与する因子である Wnt5a抗体を用いて免疫組織化学染色を行った。In vitroにおいてはヒト歯根膜細胞 (hPDL cells)にWnt5aを作用させ, ALPとCOL-1の発現をreal-time PCRを用いて検討した。 その結果、in vivoにおいて, 矯正力を加えたラットの牽引側歯根膜にはWnt5a陽性細胞の増加を認めた。さらに, in vitroにおいて,Wnt5a(100ng/ml)を添加したhPDL cellsのALPとCOL-1の発現が有意に増加した。この事からWnt5aはNotchシグナルを抑制し、歯根膜細胞の分化を増強する効果があることが明らかとなった。 以上の結果から, 歯の移動時の牽引側では歯根膜細胞において,Wnt5aシグナルを介してALPとCOL-1が誘導され, 歯根膜細胞分化を促進することにより骨形成を促進させる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度では、in vivoにおいて,5週齢のWistar系ラットを用いて上顎第一臼歯を10gの至適矯正力で7日間近心に牽引し, 牽引側の切片はHE染色ならびに、Notchに対して抑制的に働き、骨形成に関与する因子である Wnt5a抗体を用いて免疫組織化学染色を行った。In vitroにおいてはヒト歯根膜細胞 (hPDL cells)にWnt5aを作用させ, ALPとCOL-1の発現をreal-time PCRを用いて検討した。その結果、in vivoにおいて, 矯正力(10g)を加えたラットの牽引側歯根膜にはWnt5a陽性細胞の増加を認めた。さらに, in vitroにおいて,Wnt5a(100ng/ml)を添加したhPDL cellsのALPとCOL-1の発現が有意に増加した。この事からWnt5aはNotchシグナルを抑制し、歯根膜細胞の分化を増強する効果があることが明らかとなった。 おおむね27年度の実験計画は予定通り遂行することができたが、歯根膜細胞からリアルタイム-PCR法にてNotch, IL-17 mRNAの発現量を定量し、GeneChipによる各遺伝子間の相対定量解析を行う実験については再現性のある結果を出すまでに至らなかった
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度では,in vivoにおいて, 矯正力(10g)を加えたラットの牽引側歯根膜にはWnt5a陽性細胞の増加を認めた。さらに, in vitroにおいて,Wnt5a(100ng/ml)を添加したhPDL cellsのALPとCOL-1の発現が有意に増加した。この事からWnt5aはNotchシグナルを抑制し、歯根膜細胞の分化を増強する効果があることが明らかとなった。以上の結果から, 歯の移動時の牽引側では歯根膜細胞において,Wnt5aシグナルを介してALPとCOL-1が誘導され, 歯根膜細胞分化を促進することにより骨形成を促進させる可能性が示唆された。 さらに上記の計画に加え、歯根膜細胞からリアルタイム-PCR法にてNotch, IL-17 mRNAの発現量を定量し、GeneChipによる各遺伝子間の相対定量解析を行う予定であったが、解析の結果、再現性のある結果を出すまでに至らなかった。次年度は新たに良質なRNAを採取し、当初の計画であるGeneChipによる各遺伝子間の相対定量解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度では歯根膜細胞からリアルタイム-PCR法にてNotch, IL-17 mRNAの発現量を定量し、GeneChipによる各遺伝子間の相対定量解析を行う予定であったが、解析の結果、再現性のある結果を出すまでに至らなかった。そのため、ヒト歯根膜細胞とアレルギー患者由来CD4陽性細胞との共培養およびNotchシグナル阻害実験の予定であった経費を使用しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
おおむね平成27年度の実験計画は予定通り遂行できたが、歯根膜細胞からリアルタイム-PCR法にてNotch, IL-17 mRNAの発現量を定量し、GeneChipによる各遺伝子間の相対定量解析について再現性のある結果が得られなかった。平成28年度は新たに良質なRNAを採取し、当初の計画であるGeneChipによる各遺伝子間の相対定量解析と論文発表を次年度に行い、繰越金1,299,207円を使用する予定である。
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