研究課題/領域番号 |
25463203
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
船山 ひろみ 鶴見大学, 歯学部, 助教 (00359530)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 喘息 / 気管支平滑筋 / タキキニン受容体 |
研究実績の概要 |
近年,環境や食生活の変化に伴い、喘息患者は増え続けている。気管支喘息は、歯科治療の際遭遇する最も多い疾患の一つであるが、その発症機序や発作の誘因などたくさんの報告があるものの不明な点が多い。本研究では、平成25年度までの培養細胞を用いたin vitro での研究結果で、Neurokinin1 (NK1) Receptor が気道狭窄につながる平滑筋の細胞増殖の抑制に関与する可能性を示す結果を得た。本年度は,平成25年度の課題であった平滑筋細胞培養に適した細胞増殖試験として、BrdUの取り込みを利用した細胞増殖定量キットを用いて検討を行ったところ、NK1作用薬が平滑筋の細胞増殖の抑制に作用する結果を得た。 遺伝子導入を行い、NK1受容体を高発現させたヒト気管支平滑筋由来の初代培養細胞にNK1作動薬としてSubstance Pを用いて実験を行った。細胞増殖定量のキットとしてnon-radioactiveでDNAの合成期に取り込まれたBrdUの測定を原理として測定する、BrdU化学発光キット(Roche)を用いた。成長因子であるplatelet-deriverd groth facter: PDGFをNK1受動体を形質導入したヒト気管支平滑筋由来の初代培養細胞に作用させ、2日間、通法通り培養したところ、有意なBrdU値の上昇、細胞増殖を認めた。Substance PをPDGF添加の20分前に作用させると、このBrdUの取り込みと細胞増殖は抑制された。 NK1は、平成25年度に行ったWestern blot法による細胞増殖に関わる分子の抑制加えて、実際の細胞増殖の抑制にも関わっていることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度の研究で、NK1受容体の作動薬であるSubstance Pが、NK1受容体を高発現させたヒト気管支平滑筋由来の初代培養細胞において、実際に成長因子を用いた細胞増殖を抑える現象が確認された。この現象の確認は、今後の研究の遂行に必要不可欠な作業であったが、平滑筋細胞に適した増殖試験を模索するのに時間がかかり、メカニズムに関する研究が進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度までの研究結果で、細胞増殖に関わる分子であるAktの関与は分かっているが、より、上流の分子の関与に関しても研究を行っていきたい。ERK, Stat3, mTOR, PTEN等の関与について検討していく予定である。これら、細胞増殖に関わる分子の関与を明らかにすることにより、気管支喘息発症の際に生じる気道狭窄の原因の1つである気管支平滑筋の細胞増殖のメカニズムの解明に迫る。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に、ヒト気管支平滑筋細胞に適した細胞増殖試験を模索し、有用な結果を得られたのは良かったが、その細胞増殖試験に至るまでに時間がかかってしまった。また、次年度には、NK1の細胞増殖抑制のメカニズムに迫る増殖分子の検討を予定し、多くの研究費が必要とされることが予想されたため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
前述のとおり、平成26年度で行うことの出来なかった、NK1の細胞増殖抑制のメカニズムに関わる、より上流の細胞増殖分子を明らかにすべくWesterm blotやPCRでの検討を行う予定である。
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