研究課題/領域番号 |
25463204
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
岡藤 範正 松本歯科大学, 歯学部附属病院, 教授 (50194379)
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研究分担者 |
富田 美穂子 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (00366329)
中野 敬介 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (10325095)
辻極 秀次 岡山理科大学, 理学部, 教授 (70335628)
川上 敏行 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (80104892)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 骨髄幹細胞 / 歯科矯正学 / リモデリング / 外傷 / 組織修復 / 再生 |
研究概要 |
歯科矯正学的牽引時における歯周組織の早期変化、ならびに骨髄幹細胞の生体内における動態と多分化能に関する研究を行ってきた。歯科矯正学的牽引側における歯周組織の変化では、牽引則において歯根膜線維芽細胞および骨芽細胞にRunx2、Msx2、ALP、BMPsをはじめとする骨芽細胞分化関連因子の著明な発現上昇と経時的な局在の変化が生じることをさらに詳細に明らかにした。また、メカニカルストレスに伴う歯周組織の恒常性維持と細胞傷害、細胞分化にHSPsと神経内分泌関連因子が密接に関与していることを示した。骨髄幹細胞の歯牙および歯周組織構成細胞への分化能に関する研究では、GFPマウス骨髄細胞移植実験系において、骨髄幹細胞が骨芽細胞、破骨細胞、歯根膜線維芽細胞、および歯髄細胞に分化することを確認し、これらの前駆細胞となる骨髄由来幹細胞がおもにリモデリングの盛んな部位に生着すること、その誘導に神経が関与していることを示唆した。歯科矯正学的牽引時の歯根膜組織では、骨髄幹細胞が骨芽細胞や破骨細胞に分化誘導され、また歯根膜のリモデリングにも同幹細胞が強く関わっているとの結果から,歯牙牽引時における骨髄幹細胞の機能解明を行い、メカニカルストレスによって積極的にリモデリングが行われている部位に多くの骨髄幹細胞が供給されており、これらは神経内分泌関連因子の強い関連性を有していることを示した。歯科矯正学的治療応用の可能性と新規矯正学的治療法の開発に加え、外傷的ストレスを受けた組織の修復への技術応用を考え研究を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本実験の根幹を成すGFP骨髄移植マウスの安定的な作成に成功しており、またこのマウスを用いた基本的な研究のいくつかは非常に順調に進捗した。これまで我々の研究では多くの場合、骨髄移植を行ったマウスの多くが死の転帰を迎え、実験に供することが困難であったが、この問題を解決した。
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今後の研究の推進方策 |
歯科矯正学的牽引モデル動物をさらに詳細に検討する。また歯の外傷モデルマウスについても各種因子の詳細な検討を加える。歯周組織へ分化する骨髄由来GFP陽性細胞の同定を行う為、HE染色、免疫組織化学的染色、蛍光免疫二重染色を行う。歯科矯正学的牽引後に経時的にマウスを屠殺し、下顎部組織を摘出、4 % paraformaldehydeにて固定する。固定後EDTAにて脱灰、定法にてパラフィンブロックを作成する。パラフィンブロックは薄切後、抗Runx2抗体、抗Msx2、Collagen抗体等骨、歯の構成に関連する蛋白成分の抗体と抗GFP抗体を用いた蛍光免疫二重染色を行うことにより細胞種の特定を試みる。 歯根膜組織中に存在する移植骨髄細胞由来GFP陽性細胞の同定解析を行う為、モデル動物から歯根膜構成細胞の初代培養を検討している。初代培養には組織摘出のため大型のラットを用いる。歯根膜組織からの初代培養:下顎部を無菌的に摘出、滅菌PBSで洗浄し歯根膜組織を回収する。歯根膜組織は回収細切後Collagenase Dyspase溶液にて処理を行う。その後培地に懸濁37℃二酸化炭素濃度5%で培養する。必要に応じて細胞のクローン化にFACS Cellsorter等を用いる。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究がスムーズに進み、当初予定していた試薬の使用量を削減することができたため、次年度使用額が生じた。 本研究は特殊な遺伝子改変実験動物を使用している。この遺伝子改変動物作成のために使用する。具体的には遺伝子改変動物の生存安定性を向上させるための実験に次年度使用額の全額を使用する予定である。
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