研究課題
歯科矯正治療を効率よく行うためには歯を動かすだけでなく、移動させたくない歯は動かないようにする必要がある。本研究では、歯槽骨内部に埋入せず、骨表面に設置して固定を行う矯正用オンプラントシステムのうち、強固な固定が得られる骨形成因子(BMP)を複合化させ、生体内で吸収する骨膜下オンプラントの開発を目的とした。本年度は、吸収性高分子材料のモデルとしてBMPを含有している脱灰された抜去歯牙(DDM)と、骨吸収抑制剤ビスフォスフォネート(BPs)を直接DDMに添加したものをウサギの膝関節に作製した骨欠損に移植し、BPsの直接投与がDDMの骨修復能に及ぼす影響を検討した。その結果、より低用量であっても、BPsをDDMに直接添加することによりDDMの骨軟骨修復能抑制が認められ、骨修復能を必要とする部位に対してBPsを使用する場合には特に注意が必要であることが示唆された。また近年、成人の矯正治療患者が増加しており、骨粗鬆症や歯周病を有すると、治療中に骨代謝のバランスが崩れ、歯槽骨の骨吸収が生じる可能性がある。オンプラントは成人に使用する事が予想されることから、骨代謝を薬剤でコントロールするため従来用いられているBPsではなく、選択的破骨細胞抑制剤であるリベロマイシンAの投与が高回転型骨粗鬆症モデルマウスOPG-/-マウスに及ぼす影響について検討を行った。その結果、OPG-/-マウスにリベロマイシンAの投与を行ったところ、骨吸収抑制と歯槽中隔部歯槽骨の破骨細胞数が有意に減少し、炎症性サイトカインの減少が認められた。このことより、リベロマイシンAは歯槽骨部における骨代謝をコントロールできる可能性が示唆され、オンプラントを生体に用いるための骨固定の強化において、リベロマイシンAが有効である可能性が示唆された。以上の結果についてまとめた論文が掲載された。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
Scientific Reports
巻: 5 ページ: 1-9
10.1038/srep16510.
Dental material journal
巻: 34 ページ: 789-795
10.4012/dmj.2014-354.
愛知学院大学歯学会誌
巻: 53(4) ページ: 401-408
巻: 53(2) ページ: 109-119