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2014 年度 実施状況報告書

乳歯歯髄由来細胞における抗炎症メカニズムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 25463208
研究機関大阪歯科大学

研究代表者

原田 京子  大阪歯科大学, 歯学部, 准教授 (80434794)

研究分担者 河合 咲希  大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (70707067)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード乳歯歯髄
研究実績の概要

本研究では、様々な細胞への分化能を有することで注目されているヒト乳歯歯髄細胞において、炎症部位の組織破壊をもたらす種々のサイトカインやMMP、そして抗炎症作用を持つアデノシンやHSPが、どのように関連しているかについて解明し、歯髄炎に対する治療指針の可能性の範囲を拡大させるとともに、幹細胞として有用である歯髄細胞の保存に向けて再生医療への路を拓くことを第一の目的とする。 まずは、heat shockの条件について検討を行い、39、40、41、42度について、また培養条件においても、30、60、90分について検討を行った。その結果、39~40度のheat shockを与え、その後37度で30~60分培養した細胞は、無刺激のものと比較して細胞増殖能の影響がないことを明らかにした。さらに細胞保護に重要であると考えられているHSP産生について検討を行った結果、39~40度のheat shockを与え、その後37度で30~60分培養した細胞はheat shock proteinA1の遺伝子発現が最も増強することが明らかとなった。また、タンパク発現について、Elisa kitを用いて検討を行った結果、HSP70の産生増強が確認できた。
また、近年ヒト間葉系組織や間葉系培養細胞において多能性を有するが腫瘍性を持たないとされる新たなタイプの体性幹細胞 Multilineage- differentiating stress enduring (Muse)細胞が報告され、種々の研究が進められていることから、乳歯歯髄由来培養細胞に存在するMuse細胞の比率について検討を行った。その結果、乳歯歯髄由来細胞には、約0.67%のMuse細胞が存在することが明らかとなった。今後は、この乳歯歯髄由来Muse細胞とHSPの関連性についても検討を行っていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒト乳歯歯髄細胞において、炎症部位の組織破壊をもたらす種々のサイトカインやMMP、そして抗炎症作用を持つアデノシンやHSPが、どのように関連しているかについて明らかにすることができた。

今後の研究の推進方策

近年ヒト間葉系組織や間葉系培養細胞において多能性を有するが腫瘍性を持たないとされる新たなタイプの体性幹細胞 Multilineage- differentiating stress enduring (Muse)細胞が報告され、研究が進められている。Muse細胞は1細胞から3胚葉性の細胞に分化可能で、またストレス耐性能、多能性幹細胞マーカーの発現、自己複製能などを有するとされている細胞である。また生体に存在することから腫瘍性増殖を示さないという大きな利点を有し、間葉系幹細胞と多能性幹細胞の両方の特徴を備えており、間葉系マーカーCD105と ヒトES細胞マーカーSSEA-3の二重陽性細胞として組織や間葉系の培養細胞から単離可能であると報告されている。さらに、腫瘍を作らないという安全面だけでなく、分化誘導もせずにそのまま生体内に投与するだけで組織修復細胞として働くことが確認されており、Muse細胞の母集団となる間葉系幹細胞は現在世界中で数多くの臨床試験が展開され、安全性が確認されている。Muse細胞は、成人ヒトの皮膚、骨髄、脂肪組織、歯髄に存在することがすでに確認されており、今後Muse細胞を精製することや、比率を上げることによって組織修復効率の向上、再生医療への応用が期待される。
このような背景に基づき、我々は乳歯歯髄由来培養細胞に存在するMuse細胞を組織修復へと応用することを目的として、まずは乳歯歯髄由来培養細胞からMuse細胞を分離し、分離した細胞における分化能の検討、損傷歯髄組織に対する修復能の検討、さらにはMuse細胞の製精、存在比率を上げる方法について、今後検討していきたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

平成26年度中に行う予定にしていた実験が不必要となり、実験計画の変更を行ったため。

次年度使用額の使用計画

乳歯歯髄由来培養細胞に存在するMuse細胞を組織修復へと応用することを目的として、まずは乳歯歯髄由来培養細胞からMuse細胞を分離し、分離した細胞における分化能の検討、損傷歯髄組織に対する修復能の検討、さらにはMuse細胞の製精、存在比率を上げる方法について検討することを、当初の実験計画に追加して行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Alterations in Deciduous Dental Pulp Cells Cultured with Serum-free Medium2014

    • 著者名/発表者名
      Harada K, Kawai S, Xu Wen-an, Xu liang, Sonomoto M, Shinonaga Y, Abe Y, Ohura K, Zhao Wanghong, Arita K
    • 雑誌名

      Journal of Hard Tissue Biology

      巻: 24(1) ページ: 17-22

    • DOI

      http://doi.org/10.2485/jhtb.24.17

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2016-05-27  

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