研究実績の概要 |
われわれがマイクロサテライトを用いたゲノムワイド関連解析によってすでに明らかにした、骨格性下顎前突症の感受性遺伝子領域である第1染色体の1p22.3と1q32.2、さらには第15染色体の15q22.2上に存在する遺伝子が、真の原因遺伝子であるかを調べることまでを、本研究期間内の研究目的とする。 一昨年度、昨年度に、この3つの遺伝子領域について、他グループで過去に行われた遺伝子連鎖解析による結果と比較した。その結果、われわれが明らかにした1p22.3と、連鎖解析の結果で示された1p22.1とは非常に近い距離内にあり、すなわちこの2つの領域は同じであることが示唆された。また、ゲノムワイド関連解析のうち第1染色体、第15染色体以外の領域における3rdスクリーニングの追試を行った。 最終年度である今年度には、まず第1染色体の1p22.3に存在する遺伝子をゲノムブラウザにて調べたところ、Synovial Sarcoma, X breakpoint 2 Interaction Proteinをコードする遺伝子(SSX2IP)が存在していた。この遺伝子が骨格性下顎前突症の感受性遺伝子の1つであることが強く示唆された。また、ゲノムワイド関連解析の3rdスクリーニングの追試を引き続き行ったところ、第13染色体の13q32.1にも有意な関連が認められた。この遺伝子領域に存在する遺伝子をゲノムブラウザにて調べたところ、DAZ interacting zinc finger protein 1をコードする遺伝子(DZIP1)が存在していた。この遺伝子も骨格性下顎前突症の感受性遺伝子の1つであることが示唆された。
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