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2013 年度 実施状況報告書

ナノカーボンコーティングを用いた新規歯周病治療法

研究課題

研究課題/領域番号 25463210
研究機関北海道大学

研究代表者

宮治 裕史  北海道大学, 大学病院, 講師 (50372256)

研究分担者 田中 佐織  北海道大学, 大学病院, 助教 (90344522)
加藤 昭人  北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40507571)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードナノカーボン / 酸化グラフェン / 還元型酸化グラフェン / 象牙質 / 細胞培養 / スキャフォールド / イングロース / タンパク吸着
研究概要

新しい歯科治療法を開発することを目的として,酸化グラフェン(GO)を用いて象牙質表面のコーティングを行い評価した.GOにはnanoGRAX(三菱ガス化学)を用いた.GO分散液をメチルピロリドン(NMP)にて希釈して,象牙質ブロックをコーティング処理した.SEM観察の結果,GOによって象牙質表面にフィルムが形成され象牙細管が封鎖された.以上よりGOによる歯面コーティングが可能であることが明らかになった.
次にGOフィルムの生物学的特性を調べた.GOフィルムおよびGOを化学的還元処理したRGOフィルムを作製してE1細胞を播種した.その結果,両フィルムに細胞の付着伸展を認めたが,DNA量は両フィルムともに少なく増殖は抑制された.一方,ALP活性はRGOフィルムで強く発現し,RGOフィルムは骨芽細胞の分化レベル上昇に効果的であると考えられた.
次にコラーゲンスキャフォールドをGOとRGOでコーティングした.SEM観察,圧縮強度測定後,ラットに埋入して組織学的に評価した.その結果,スキャフォールドは一様にフィルムに覆われ,圧縮強度はコントロールに比較してRGOで強く上昇した.組織学的観察ではコーティングによる生体親和性の低下は認めず,スキャフォールド内部へのイングロースを観察した.イングロース面積はRGOスキャフォールドで最も高い値であった.以上よりRGOコーティングはスキャフォールドの特性を向上させることが明らかになった.
また,GO,RGOのタンパク質吸着および徐放性を検討した.GOおよびRGO溶液作製後アルブミンを添加,アルブミン吸着量を測定した.また,吸着後の経時的なアルブミン徐放量を測定した.その結果,GOのアルブミン吸着量はRGOの2.5倍を示した.また,GOでは経時的なアルブミンの徐放を認めた.以上から,GOはドラッグデリバリーデバイスとして応用できると考えられた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

平成25年度の計画において,象牙質ブロックの作製とナノカーボンコーティングを行い,SEMにおいてコーティング状態が評価され定量的評価も順調に行われた.フィルム上での細胞培養ではSEM観察,DNA量,ALP活性の定量のほか,プロリファレーションアッセイ,ROSアッセイも追加継続している.またフィルムの濃度による細胞培養テストも行っている.さらにはじめ予定していなかったフィルムのAFM,XRD分析,カルシウム吸着テストを追加した.タンパク質吸着試験ではアルブミン及びリゾチームを用いて,評価を終了した.現在酸化グラフェンフィルム上での抗菌性試験のデータを評価中である.
また,小動物を用いた生体適合性試験も順調に行われ,さらに生体吸収性の評価も行っている.また,骨組織,皮膚欠損部への移植をトライして,酸化グラフェンスキャフォールドの用途拡大を目指している.

今後の研究の推進方策

平成26年度は概ね計画通り推進する予定である.大型動物を用いて歯周病モデルへの応用を検討する予定だが,現在動物実験施設が耐震補強工事中であるため,研究のスタートが遅れる可能性がある.工事終了まではin vitroの追試,in vivoのラット等の小動物を用いた検討をさらに行い,ナノカーボンの至適濃度,用途拡大を検討し,得られたデータを大型動物の実験に反映する.

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (13件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Osteoconductivity and biodegradability of collagen scaffold coated with nano-β-TCP and fibroblast growth factor 22013

    • 著者名/発表者名
      A Ibara, H Miyaji, B Fugetsu, E Nishida, H Takita, S Tanaka, T Sugaya, M Kawanami
    • 雑誌名

      J Nanomater

      巻: 2013 ページ: ID 639502

    • DOI

      10.1155/2013/639502

    • 査読あり
  • [学会発表] チタン表面のカーボンナノチューブコーティングと生体適合性評価2014

    • 著者名/発表者名
      西田絵利香,宮治裕史,滝田裕子,梅田純子,近藤勝義,古月文志,田中佐織,加藤昭人,金山和泉,川浪雅光
    • 学会等名
      第13回日本再生医療学会総会
    • 発表場所
      京都国際会議場(京都)
    • 年月日
      20140304-20140306
  • [学会発表] 酸化グラフェンコーティングした組織再生用スキャフォールドの特性比較2014

    • 著者名/発表者名
      宮治裕史,西田絵利香,滝田裕子,金山和泉,辻妹井子,川浪雅光
    • 学会等名
      第13回日本再生医療学会総会
    • 発表場所
      京都国際会議場(京都)
    • 年月日
      20140304-20140306
  • [学会発表] キトサンを用いたマイクロパターン化フィルムの作製2013

    • 著者名/発表者名
      西田絵利香,宮治裕史,赤坂 司,川浪雅光
    • 学会等名
      第35回日本バイオマテリアル学会大会
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京)
    • 年月日
      20131125-20131126
  • [学会発表] カーボンナノチューブとナノリン酸カルシウムによるスキャフォールドコーティング2013

    • 著者名/発表者名
      村上秀輔,宮治裕史,西田絵利香,滝田裕子,吉田 崇,古月文志,川浪雅光
    • 学会等名
      第35回日本バイオマテリアル学会大会
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京)
    • 年月日
      20131125-20131126
  • [学会発表] Graphene oxide for tissue engineering application2013

    • 著者名/発表者名
      E Nishida, H Miyaji, H Takita, I Kanayama, M Tsuji, M Kawanami
    • 学会等名
      26th International Microprocesses and Nanotechnology Conference
    • 発表場所
      Royton Sapporo (Sapporo)
    • 年月日
      20131105-20131108
  • [学会発表] Preparation of chitosan/ gelatin based biomaterial2013

    • 著者名/発表者名
      T Chaochai, H Miyaji, T Yoshida, E Nishida, T Furuike, H Tamura
    • 学会等名
      10th International Conference of the Asian Pacific Chitin Chitosan Symposium
    • 発表場所
      Yonago Convention Center (Yonago)
    • 年月日
      20131004-20131008
  • [学会発表] グラフェンおよび酸化グラフェンフィルムに対する生体反応2013

    • 著者名/発表者名
      金山和泉,宮治裕史,西田絵利香,辻 妹井子,井上加菜,井原朝子,川浪雅光
    • 学会等名
      日本歯科保存学会2013年度春季学術大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡)
    • 年月日
      20130627-20130628
  • [学会発表] 異なる濃度のナノβ-TCP分散液でコーティングしたコラーゲンスキャフォールドの特性評価2013

    • 著者名/発表者名
      宮治 裕史,西田 絵利香,村上 秀輔,川浪 雅光
    • 学会等名
      日本歯科保存学会2013年度春季学術大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡)
    • 年月日
      20130627-20130628
  • [学会発表] 新規イオン徐放性S-PRGフィラー含有根管シーラーの生体適合性の検討2013

    • 著者名/発表者名
      田中佐織,宮治裕史,西田絵利香,金山和泉,加藤昭人,中塚稔之,川浪雅光
    • 学会等名
      日本歯科保存学会2013年度春季学術大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡)
    • 年月日
      20130627-20130628
  • [学会発表] 高気孔性PLGA/β-TCPスキャフォールドの骨増生効果2013

    • 著者名/発表者名
      吉田 崇,宮治裕史,大谷香織,井上加菜,井原朝子,小川幸佑,島田 歩,川浪雅光
    • 学会等名
      第56回春季日本歯周病学会学術大会
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京)
    • 年月日
      20130531-20130601
  • [学会発表] ナノβ-TCP/コラーゲンスキャフォールドのイヌ歯周組織欠損モデルへの応用2013

    • 著者名/発表者名
      小川幸佑,宮治裕史,加藤昭人,光銭裕太,吉田 崇,百瀬赳人,西田絵利香,村上秀輔,川浪雅光
    • 学会等名
      第56回春季日本歯周病学会学術大会
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京)
    • 年月日
      20130531-20130601
  • [学会発表] FGF含有コラーゲンハイドロゲルスキャフォールドの根分岐部class II骨欠損への応用2013

    • 著者名/発表者名
      百瀬赳人,宮治裕史,加藤昭人,光銭裕太,小川幸佑,井原朝子,吉田 崇,菅谷 勉,川浪雅光
    • 学会等名
      第56回春季日本歯周病学会学術大会
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京)
    • 年月日
      20130531-20130601
  • [学会発表] 酸化グラフェンおよびグラフェンによる歯根象牙質コーティングとタンパク吸着性の評価2013

    • 著者名/発表者名
      西田絵利香,宮治裕史,辻妹井子,田中佐織,金山和泉,川浪雅光
    • 学会等名
      第56回春季日本歯周病学会学術大会
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京)
    • 年月日
      20130531-20130601
  • [備考] 歯周病再生治療研究グループ

    • URL

      http://www.den.hokudai.ac.jp/hozon2/tissue-engineering.html

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公開日: 2015-05-28  

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