研究課題
酸化グラフェン(GO)塗布法のビーグル犬への応用を検討した.前臼歯に実験的歯周病モデル(2級分岐部欠損)を作成して露出根面へのGO分散液の塗布を行い,組織学的に評価した.その結果,歯周組織に強い炎症反応は見られなかったものの,根面にそって上皮のダウングロースが頻繁に認められ,大幅なペリオドンタルアタッチメントの獲得はできなかった.さらなるGO塗布方法の検討が必要であると思われた.一方で前年度に引き続きGOスキャフォールドの組織再生効果を検討した.ラット背部皮下へGOスキャフォールドを埋植して10日目の免疫染色分析の結果,炎症性M1マクロファージだけではなく,再生に重要な役割を果たす組織修復型M2マクロファージのイングロースが促進されることが明らかになった.なおコントロールのコラーゲンスポンジの埋植では,M1マクロファージのイングロースが優勢であり,M2マクロファージはほとんど認めなかった.したがって生体内でGOスキャフォールドのリモデリングが活発に起こっていると考えられた.ラット頭蓋骨上へのGOスキャフォールドの埋植実験では,5週目においてコラーゲンスポンジに比べて2.2倍の骨増生を認め,GOの添加が骨形成促進作用を発揮することが明らかになった.続いてイヌ抜歯窩へのGOスキャフォールド埋植実験を行った.上顎前臼歯を抜歯後GOスキャフォールドを埋入して2週後に組織学的検討を行ったところ,早期から新生骨が形成されており,コラーゲンスポンジを移植したコントロールに比較して約5倍もの骨形成面積を示し,GOスキャフォールドは骨補填材としての機能を強く発揮した.また実験的歯周病モデル(2級分岐部欠損ならびに1壁性骨欠損)へGOスキャフォールドを埋植した結果,CT撮影で歯槽骨の再生を認め,組織学的にも歯根膜形成を伴う歯周組織の再構築が観察された.以上より,GOスキャフォールドは骨・歯周組織の再生に有効であることが示された.
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