抗炎症性サイトカインIL-10を中心とした歯周炎の発症・進行抑制に対する効果を検討した。ヒト歯周炎患者の歯肉病変部では歯肉炎に比較してIL-10が有意に高いレベルで検出された。マウス絹糸結紮歯周炎モデルにおいて、口腔細菌の増加、歯肉の著明な炎症、歯槽骨吸収と同時に、歯肉でのIL-10発現の上昇を認めた。このモデルにおいて歯肉局所にIL-10を直接投与すると炎症、骨吸収の抑制作用は認められなかったが、腹腔投与すると歯肉の炎症性サイトカインは抑制しないが歯槽骨吸収は抑制傾向が認められた。歯周炎の骨吸収は局所の炎症のみでなく、全身性に制御されていることが示唆された。
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