研究課題
SOD(superoxides dismutase)は酸化ストレスによって生じるROS(reactive oxygen species)の起点物質であるスーパーオキサイドを過酸化水素と酸素に変換する酵素で、酸化ストレス防御因子として働く。近年、歯周病に罹患した歯周組織において酸化ストレスが生じていることが報告されているが、SODの歯周組織における役割については不明な点が多い。本研究の目的は、歯周組織におけるSOD2の機能を明らかにすることである。特に、セメント質におけるSOD2の機能を探索するために、DMP-1 CreトランスジェニックマウスとSOD2 floxマウスを交配することにより、セメント質特異的にSOD2が欠損したマウス(DMP1-Cre-SOD2欠損マウス)を作成した。8週齢のDMP1-Cre-SOD2欠損マウスと野生型マウスの下顎第一大臼歯周囲の歯周組織について、組織切片にて解析を行った。組織切片は近心根、遠心根周囲の連続切片を作成し、HE染色を行い、歯周組織の形態、特に歯根周囲のセメント質の形態について評価を行った。DMP1-Cre-SOD2欠損マウス、野生型マウス、それぞれ8匹ずつ、解析を行ったが、マウスのセメント質はヒトのセメント質とは異なり、根尖部付近で強く肥厚していることがわかった。また、DMP1-Cre-SOD2欠損マウスと野生型マウスの間にセメント質の厚みに有意な差がみられ、DMP1-Cre-SOD2欠損マウスのセメント質の方が厚く肥大していることが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
詳細な組織解析を行うことができた。今後、そのメカニズムについて、in vitroの実験を中心にすすめていく予定である。
DMP1-Cre-SOD2欠損マウスにおいてセメント質が肥厚するメカニズムを明らかにするために、セメント芽細胞株におけるSOD2の機能を明らかにしていく予定である。具体的には SOD2過剰発現・ノックダウンセメント芽細胞を作製し、セメント芽細胞の増殖・分化に対する影響を検討する。
予定していた細胞実験を一部、行うことができなかったため。
セメント芽細胞を用いた培養実験の際の、細胞培養用具の購入に使用する。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)
FEBS Lett.
巻: 588 ページ: 2262-2269
Modern Research in Inflammation
巻: 3 ページ: 59-66