研究課題/領域番号 |
25463226
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
森川 暁 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00424169)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 歯周組織再生 / 間葉系幹細胞 / iPS細胞 |
研究実績の概要 |
昨年度の報告から、ヒト細胞を研究に使用できるようになればすぐに口腔組織からの間葉系幹細胞分離に着手すると予定していた。本学における倫理委員会申請書類が許可されたため、患者検体から間葉系幹細胞を分離することが可能となった。また、本学生理学教室との共同研究でiPS細胞を用いた新規歯周組織再生療法の確立に向けた研究を開始した。具体的には①ヒトiPS細胞からのヒト組織幹細胞(間葉系幹細胞)の確立。②ヒトiPS細胞をから歯および歯周組織の発生学的起源である歯原性上皮細胞、歯原性間葉細胞の誘導方法の確立を目指した。 将来の臨床応用への対応も考え、ヒトiPS細胞培養はマウスフィーダー細胞を用いない、いわゆるフィーダーフリー培養の確立を試みた。さらにヒト以外の動物由来血清の使用もやめ、ゼノフリーでの培養方法の確立も試みた。このフィーダーフリー・ゼノフリーの培養方法は当初なかなか細胞が増えにくく、従来方法に比べて困難であったが、AJINOMOTOの無血清培地を使用することで安定して細胞培養ができるようになってきた。 これらのヒトiPS細胞から歯原性上皮細胞および歯原性間葉細胞へ誘導することができれば、試験管内で歯や歯周組織の発生を模倣することができれば新たな歯・歯周組織再生療法の確立につながると考え、現在誘導方法の確立を目指し、研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト細胞を用いた実験計画は、主にヒトiPS細胞を用いることに研究計画を一部変更したこどで概ね順調に進んでいる。倫理委員会申請書も通過したことから、今後はこのiPS細胞から誘導した間葉系幹細胞や歯原性上皮細胞、歯原性間葉細胞とヒトの生体内に存在する純化間葉系幹細胞を比較することで新規歯周組織再生療法につながると考えている。 また実験的歯周炎については再現性が取れないことや、従来の方法がヒトの病態とかなりかけ離れていることが問題となっていたが、Abe T, Hajishengallis G. Optimization of the ligature-induced periodontitis model in mice. J Immunol Methods. 2013 Aug 30;394(1-2):49-54. にヒトの病態と非常に近似したモデルが作製できると報告されているので、この方法を元に免疫不全マウスに実験的歯周炎を惹起させ、再生療法を試みる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の実験計画は、主にヒトiPS細胞を用いた研究を行っていく予定である。まずは現在iPS細胞から誘導を試みているヒト純化間葉系幹細胞、歯原性上皮細胞、歯原性間葉細胞が確実にその細胞に誘導されているかどうかを過去の論文を参考に免疫染色にて評価する。 また、新規歯周組織再生療法の移植実験は、T細胞欠損のnude mouseや、T細胞・B細胞欠損のNOD/SCIDマウスなどの免疫不全マウスをレシピエントに考えている。倫理委員会申請書も通過したことから、今後はこの①iPS細胞から誘導した間葉系幹細胞 ②歯原性上皮細胞 ③歯原性間葉細胞、そして組織幹細胞としてヒトの生体内に存在する④純化間葉系幹細胞を比較することで新規歯周組織再生療法につながると考えている。 免疫不全マウスの実験的歯周炎については再現性が取れないことや、従来の方法がヒトの病態とかなりかけ離れていることが問題となっていたが、Abe T, Hajishengallis G. Optimization of the ligature-induced periodontitis model in mice. J Immunol Methods. 2013 Aug 30;394(1-2):49-54. にヒトの病態と非常に近似したモデルが作製できると報告されているので、この方法を元に免疫不全マウスに実験的歯周炎を惹起させ、上記①~④再生療法を試みる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に使用する消耗品費を節約できた結果であり、翌年度分と合わせて計画的に使用していく。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度分と合わせて計画的に使用させていただく。
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