研究課題
本研究課題の当初予定していたヒト口腔組織から直接、歯周組織を再生させるポテンシャルを有する歯周組織幹細胞の同定を目的としていた。しかしながら、歯周組織に限定せず顎骨や末梢神経の再生も視野に入れた幹細胞が分離あるいは誘導できれば、多くの間葉細胞から構成される歯周組織再生にも大きく寄与することが容易に想像できる。そこで申請者はヒト口腔組織から歯周組織幹細胞を分離・解析する方法を探索すると同時に、iPS細胞から歯周組織の発生学的起源である外胚葉性間葉組織構成細胞=神経堤細胞を誘導することも研究計画として追加した。これまでの研究成果は①iPS細胞は京都大学と提携し、実際の治療を目的として誘導されたiPS細胞、すなわち治療用iPS細胞を用いることができるようになった。②少しでも将来の実用化に向けた治療用iPS細胞を使用することから、培養に用いるフィーダー細胞の使用も課題となっていることから本研究課題の重要なステップとして、フィーダーフリー培養法を確立した。③フィーダーフリー培養法を確立した後は、同じく臨床実用化の重要なステップになる無血清培養法、すなわちゼノフリー培養法でのiPS細胞の維持と神経堤細胞への誘導を実現させた。この①②③の結果本研究課題の(研究期間に限定されない)最終的ゴールであるヒト歯周組織再生に向けた非常に重要かつ必須のステップとその成功だったと考えている。現在はフィーダーフリー/ゼノフリーの条件で培養した治療用iPS細胞から神経堤細胞に誘導し、その増殖能や分化能に加え、神経堤細胞の重要な性質の一つである遊走能に関してもin vivo実験で評価を行っている。また、現在歯周組織再生の候補として基礎・臨床研究が進んでいる間葉系幹細胞系統への誘導と分化能に関しても確認中である。さらに誘導幹細胞による口腔組織再生に向けた画像評価法の確立も検討している。
すべて 2016 2015
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