研究課題/領域番号 |
25463229
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
小方 頼昌 日本大学, 歯学部, 教授 (90204065)
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研究分担者 |
中山 洋平 日本大学, 歯学部, 講師 (30434088)
高井 英樹 日本大学, 歯学部, 助教 (30453898)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 歯周炎 / microRNA / 炎症 / 遺伝子発現 / 歯肉 / 結合組織 / 上皮 |
研究概要 |
中等度~重度慢性歯周炎患者のフラップ手術時に切除する炎症性歯肉と、デンタルインプラント手術時に切除する非炎症性歯肉から全RNAを抽出し、両歯肉組織でのmicroRNA(miRNA)発現の違いをmiRNAマイクロアレイで、遺伝子発現の違いをDNAマイクロアレイで解析し、炎症部位で増減するmiRNAと遺伝子の発現に関して解析を行い、さらに、炎症部位で増減するmiRNAと遺伝子の相互作用についての解析を行う予定である。両マイクロアレイの結果は、リアルタイムPCRを用いて遺伝子発現レベルの変化を再解析を行う。 遺伝子ネットワーク、情報伝達系のデーターベースであるIngenuity Pathways Analysis(IPA)を用いて、歯周炎との関連、遺伝子ネットワーク、情報伝達系について解析を行う予定である。 初年度は、炎症性歯肉と非炎症性歯肉から抽出した全RNAを使用して、両歯肉組織でのmiRNA発現の違いをmiRNAマイクロアレイで解析し、炎症性歯肉で発現が上昇した17種類のmiRNAおよび発現が減少した22種類のmiRNAを同定した。発現が上昇した上位3位のmiRNAは、hsa-miR-150、hsa-miR-200bおよびhsa-miR-223であり、発現が低下した上位3位のmiRNAは、hsa-miR-379、hsa-miR-199a-5pおよびhsa-miR-214であった。また、miRNAマイクロアレイの結果は、GeneSpring GXソフトウエアおよびIPAを用いてデーター解析を行った。 次年度には、培養歯肉線維芽細胞または歯肉上皮細胞に、解析結果から同定した数種類のmiRNAの発現ベクターを導入後、炎症性サイトカインで刺激し、その解析結果から、歯周炎の発症および進行に深く関与するmiRNAおよび遺伝子を同定したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中等度~重度慢性歯周炎患者のフラップ手術時に切除する炎症性歯肉(歯肉上皮と歯肉結合組織を含む)と、デンタルインプラントの1次または2次手術時に切除する非炎症歯肉から低分子RNAを含む全RNAを抽出し、両者のmiRNA発現量の違いをAgilent Human miRNAマイクロアレイで比較検討を行った。 miRNAマイクロアレイの結果は、GeneSpring GXソフトウエアおよびIPAを用いてデーター解析を行っているところであり、2年め以降の研究に繋がると考えられる。 また、炎症性歯肉で発現が上昇した17種類のmiRNAおよび発現が減少した22種類のmiRNAを同定し、それぞれのmiRNAのターゲット検索もおこなっていることから、研究はおおむね順調に進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
miRNAマイクロアレイの結果を、GeneSpring GXソフトウエアを用いてデーター解析を行っているが、miRNAマイクロアレイの分析結果を基盤に、遺伝子ネットワーク、情報伝達系の関連性について解析を行うことができるデーターベースであるIngenuity Pathways Analysis(IPA)を用いて歯周炎と関連する遺伝子ネットワーク、情報伝達系を解析する予定である。さらに、miRNAマイクロアレイの結果から、歯周炎で発現上昇または低下したmiRNAに関して、miRNAリアルタイムPCRを用いて、miRNAの発現変化を定量的に検索する予定である。 次年度には、培養歯肉線維芽細胞または歯肉上皮細胞に、解析結果から同定した数種類のmiRNAの発現ベクターを導入後、炎症性サイトカインで刺激し、その解析結果から、歯周炎の発症および進行に深く関与するmiRNAおよび遺伝子を同定して行きたいと考える。
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