研究課題/領域番号 |
25463234
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 恵美 東北大学, 歯学研究科(研究院), 技術一般職員 (80596817)
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研究分担者 |
小関 健由 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (80291128)
坂井 信之 東北大学, 文学研究科, 准教授 (90369728)
細川 亮一 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (40547254)
丹田 奈緒子 東北大学, 大学病院, 助教 (00422121)
荒井 啓行 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (30261613)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 口腔ケアリング / リラクゼーション |
研究実績の概要 |
平成25年度から継続している (2) 口腔刺激由来の心的投影のメカニズムの解析を継続し、さらに、(3) 口腔ケアリングの実施によるリラクゼーション効果の検証の実験を遂行した。 (2) 口腔刺激由来の心的投影のメカニズムの解析(実験責任者:坂井、実験実施者:伊藤、小関):刺激の投射の特殊性と、臨床で機能リハビリテーション時に活用する刺激導入法とその増強手段や反映される心的動態を解析し、口腔刺激の臨床や日常生活での効果的な活用法を探リ、様々な口腔内刺激の特性の評価方法と特徴付けを行う事ができた。 (3) 口腔ケアリングの実施によるリラクゼーション効果の検証(実験責任者:伊藤、実験分担者:小関・細川・丹田、実験結果評価者:坂井・荒井):前年度の実験結果の解析から、対象者に状態不安や主観的緊張および主観的ストレスを誘導しない口腔ケアの介入方法を検証した。新しく抽出されたリラクゼーション効果のある術者みがきの方法を応用して、口腔ケアリングの手法を如何に効果的に実施するかを実験毎に検証し、更なる改良を加える事によって対象者の心理的効果の高く器質的・機能的口腔ケアの効率も高い口腔ケアリングの手法の選択を行った。 (4) 幼児・小児期の口腔ケアリング手法と評価法の確立(実験責任者:伊藤、実験分担者:小関・細川・丹田):幼児期でも口腔ケアリングの考え方を応用すれば、仕上げ磨きの拒否などの子育て時の問題点を改善し、子どもに関わるものとの新たな関係構築まで発展する可能性が考えられるため、小児の口腔ケアリング手法を検索するための準備を開始した。また、妊婦が想起する生まれ来る子どもへの期待と健康管理の実施予測、さらに出産後の育児の状況との関連の解析から、育児を通して保護者の思いを幼児に伝える行動の発動に関して関連を検証し、小児の口腔ケアリング手法を推進する親の情動を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度から継続している(2) 口腔刺激由来の心的投影のメカニズムの解析を継続し、さらに、(3) 口腔ケアリングの実施によるリラクゼーション効果の検証の実験を遂行することができた。 (2) 口腔刺激由来の心的投影のメカニズムの解析では、様々な口腔内刺激の特性の評価方法と特徴付けを行う事ができ、様々な条件下での口腔内刺激の応用に関して、基礎データの収集を行うことが出来た。特に臨床で機能リハビリテーション時に活用する刺激導入法の実施から、口腔刺激がリハビリテーションに向かう心の動機づけになっていることが示唆された。 (3) 口腔ケアリングの実施によるリラクゼーション効果の検証では、前年度から継続して自律神経評価と唾液中のアミラーゼ活性を測定する唾液アミラーゼモニターも使用し、様々な口腔内刺激の口腔内刺激の特性の評価方法と特徴付けを行ったことにより、対象者に状態不安や主観的緊張および主観的ストレスを誘導しない口腔ケアの介入方法が導き出すことが出来た。特に自律神経評価で使用する心拍モニター装置は、幾つかの制約があるものの簡便で、本評価に適していた。 (4) 幼児・小児期の口腔ケアリング手法と評価法の確立では、幼児期でも口腔ケアリングの考え方を応用し、仕上げ磨きの拒否などの子育て時の問題点が改善できると考え、子どもに関わる者との新たな関係構築まで発展させるべく、小児の口腔ケアリング手法を検索するための準備を開始することができた。小学校低学年の出前授業や幼稚園歯科健診時の保護者や教諭から、小児期の口の関わり合いの問題点を聴取し、さらに妊婦と出産後の育児と健康管理に関する意識調査から、妊婦が想起する生まれ来る子どもへの期待と健康管理の実施予測と出産後の育児の状況が大きく乖離している場合が多く、幼児・小児の口腔ケアリング手法を推進する際の親の心と生活のあり方までを検討した。
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今後の研究の推進方策 |
(4) 幼児・小児期の口腔ケアリング手法と評価法の確立(実験責任者:伊藤、実験分担者:小関・細川・丹田):保護者と小児の良好な関係を維持するために、これまでの情報収集を踏まえて口腔ケアリングの手技を小児への応用を試みる。研究は、口腔ケアリングの視点から、小児の口腔の器質的・機能的評価の再設定を行い、次いで口腔刺激由来の心的投影のメカニズムの解析を進める。これらのデータから口腔ケアリングの実施によるリラクゼーション効果の実験データを集約して、幼児・小児期における口腔ケアリング手法と評価法の確立を目指す。実際には、術者が小学校低学年児童に仕上げ磨きを実施し、実施後の小児の主観的な緊張とストレスの評価はVisual Analog Scale等を用いて比較し評価する。また、保護者の仕上げ磨きの実施状態を直接観察し、同様に親も主観的な緊張とストレスの評価を行う。これらの結果から導かれる幼児・小児期の口腔ケアリングの手法を設定し、その手法を実施した際の小児の主観的な緊張とストレスの評価を比較し評価し、幼児・小児期の口腔ケアリング手法を確立する。 (5)心身的リハビリテーション効果のある口腔ケアリング・リハビリテーションの確立(実験責任者:伊藤、実験分担者:小関・細川・丹田):乳幼児から意志の疎通が困難な要介護者・高齢者に至る全てのライフステージに対して口腔ケアリングの概念とその手技の応用を考える。口腔刺激由来の心的投影のメカニズムの検証、口腔ケアリングの実施によるリラクゼーション効果の検証、幼児・小児期の口腔ケアリング手法と評価法の検証の研究結果を統合し、心身的リハビリテーション効果のある口腔ケアリング・リハビリテーション手法を確立し、広く医療だけではなく介護や養育の現場での口腔に関わる全ての分野での口腔ケアリング・リハビリテーションの提言を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたデータ入力を分担者が実施したため、謝金の発生がなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
口腔刺激由来の心的投影のメカニズムの解析を継続し、確立された口腔刺激の臨床や日常生活での効果的な活用法の応用に関して、基礎データの収集と検証の研究が多くを占め、口腔ケア用品、唾液アミラーゼ、口腔湿潤、含漱液のアンモニア、濁度および粘度を測定するために唾液分泌物測定用器材、さらに生化学検査用試薬と検査キットが必要となる。 また、口腔ケアリングの実施によるリラクゼーション効果の検証の実験を遂行するために自律神経評価キットの使用が増加し、対象者の心理的効果の高く器質的・機能的口腔ケアの効率も高い口腔ケアリングの手法を選択・確立するために眼球運動測定システムTalkEye Liteの使用が必要であり、実施するためのシステム一式を計上する。収録したデータの整理と集計を行うため、多数の研究補助員が必要となり、その謝金を用意する。旅費は、研究成果を国際学会で発表する。
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