研究実績の概要 |
本研究では、齲蝕実験モデルとして使われうる、マウスを対象として、その口腔内プラーク細菌叢について網羅的解析を行った。3週ならびに6週、および9ヶ月齢のICRマウスの口腔内からプラークを採取し、リン酸カリウム緩衝液あるいは生食水に浸漬し、試料とした。分散・均一化し、希釈後、CDC血液寒天平板に接種し、嫌気培養を行った。生育したコロニーについて、16S ribosomal RNA PCR-シークエンス法を用いて、細菌種の同定を行った。その結果、マウス口腔内プラーク細菌叢を構成する細菌として、Enterococcus, Escherichia, Lactobacillus, Lactococcus, Clostridium などが優勢菌として検出された。 本研究によって、離乳前ならびに離乳後、および成熟したマウスにおいて、その口腔内プラークの細菌構成が、嫌気培養とシークエンス解析を組み合わせた分子生物学的手法によって、初めて明らかになった。人間(ヒト)において、小児のプラーク細菌叢は、Streptococcus,Actinomyces, Veillonellaなどが優勢菌であると広く知られており、それとは大きく異なる知見となった。これは、ヒトとマウスでは食性が全く異なることに依って、口腔内プラーク細菌構成が大きく異なるものと推察された。
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