研究課題/領域番号 |
25463245
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
島津 篤 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院, 助教 (10274094)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | semaphorin |
研究概要 |
最近、軸索伸長のガイダンス因子として知られていたセマフォリン(Semaphorin; Sema) 3Aが、骨芽細胞の分化促進と破骨細胞の分化抑制を同時に行うことで、骨保護作用を示すことが報告された。 Sema3Aは軸索伸長のガイダンス因子として知られるセマフォリンファミリーに属するタンパク質で、セマフォリンファミリーは、哺乳類においてサブタイプを含め約20種が同定されている。Sema3Aは、これまで軸索伸長のほか免疫制御やがん細胞の増殖抑制などさまざまな機能が報告されているが、歯周組織や歯髄組織における役割は、わかっていなかった。 そこで今回、歯周組織や歯髄組織の局所におけるSema3A発現細胞とその発現制御機構、Sema3A発現細胞と受容体陽性細胞との相互作用を探索し、Sema3Aの発現変動が組織の恒常性や崩壊に関与しているのか否かを明らかにすることを目的に計画し、本年度は、マウス歯胚から単離した樹立象牙芽細胞の石灰化に至る過程を再現する培養系を確立し、Sema3Aの発現について検討を行った。またPorphyromonas gingivalis由来のLPSの処置によって、Sema3Aの発現が変動することを見出した。さらに象牙芽細胞が、Sema3Aの受容体として報告のあるNeuropilin (Nrp)およびPlexinを発現していることを明らかにした。この結果は、象牙芽細胞に対して、Sema3Aは、オートクラインまたパラクライン的に細胞に作用している可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Sema3Aの歯周組織における役割を解明するため、マウス歯胚由来の歯髄細胞の単離を試みたが、極めて極小のため、単離が困難で手間取ってしまった。安定かつ信頼のおける結果を得るために、樹立細胞株を入手し、実験を行うことになったため、実験全体の進捗状況に若干の遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
歯周組織および歯髄組織のSema3A受容体の陽性細胞の検討を、組織学的検索および培養細胞を用いた検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
Sema3Aの歯周組織における役割を解明するため、マウス歯胚由来の歯髄細胞の単離を試みたが、極めて極小のため、単離が困難で手間取ってしまった。安定かつ信頼のおける結果を得るために、樹立細胞株を入手し、実験を行うことになったため、実験全体の進捗状況に遅れが出たため。 計画上の進捗率を達成するため、実験全体の進捗状況を適宜把握し、問題点があれば迅速に対応する。また極力結果の信頼度をあげるために,通常より実験回数を多くし、また機能の解明のため、トランスフェンクション等、新たな実験の計画を行う。
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