研究課題/領域番号 |
25463248
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
小川 尊明 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (50325338)
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研究分担者 |
徳田 雅明 香川大学, 医学部, 教授 (10163974)
松井 義郎 香川大学, 医学部, 教授 (10181687) [辞退]
三宅 実 香川大学, 医学部, 教授 (20239370)
桑原 知巳 香川大学, 医学部, 教授 (60263810)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | D-タガトース / キシリトール / ガム / 口腔内細菌 / Streptococcus mutans |
研究実績の概要 |
A 希少糖ガムの作成:in vitroの実験にて、D-プシコース、L-プシコースおよびL-タガトースには口腔内細菌のStreptococcus mutansに対する効果が弱いことが判明した。したがって、実験をD-タガトースに集中することにした。試験用ガムは①D-タガトースガム、対象として②マルチトースと③キシリトールのガムを作成した。さらに、in vitroの実験にて、D-タガトースとキシリトールの併用が、S. mutansに対する抑制効果が高いことが判明したため、④D-タガトースとキシリトールの混合ガムも作成した。 B D-タガトースガム使用前後の口腔内細菌の検査:S. mutansの評価において、in vitroとin vivo のそれぞれの実験の整合性をもたせるために、両者をバイオアッセイによるバイオフィルムの量の測定をにて評価した。 in vitroにて、S. mutans株のGS5を用い、スクロース、D-グルコース、キシリトールまたはD-タガトースの各培地で、バイオフィルムの生産を、バイオアッセイによって測定し、比較した。D-タガトース培地において、バイオフィルム産生の有意な減少を認めた。バイオフィルム形成阻害は、対象のキシリトールと比較し用量依存性を示した。 in vivoにて、ボランティアの被験者に、上記Aで作成した①~④のガムを用い、1回2gを1日3回食後、1回5分間、3日間使用し、使用の前中後で口腔内細菌を採取した。in vitroと同様に、バイオフィルムの生産を、バイオアッセイによって測定し、比較した。D-タガトースガムの使用にて、バイオフィルム産生の減少を認めたが、in vitroの結果と比し、著明な変化ではなかった。バイオフィルムの測定のほかに、デントカルトMSキットおよびLBキット、BHI培地、MSB培地、PCRを用いた口腔内細菌の変化も検索した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
希少糖ガムの作成、生産、使用に成功した。 ボランティアの被験者に、作成した希少糖ガムを3日間使用し、その使用前後で口腔内細菌のサンプルを、各ガム約10人分(計40人分)採取し測定を行った。測定結果の解析を行ったが、①D-タガトースガム、③キシリトールガムおよび④D-タガトースとキシリトールの混合ガムにより、細菌数が低下した被験者もあったが、解析を行ってみると有意差が無かった。そこでガムの試用期間を1か月間とし、一昨年の3日間の実験と同様に、口腔内細菌の変化を測定した。すると、④D-タガトースとキシリトールの混合ガムが唾液中のS. mutansの数を減少させていることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の研究実施計画 平成27年度までの資料、研究成果の整理・分析を行い、学会と論文発表の準備をすすめている。具体的には、016年6月18日~19日新潟で開催される第36回日本薬物療法学会にて発表予定である。論文は、Journal of Medicinal Foodに投稿予定である。 しかし、D-タガトースとキシリトールの混合ガムが唾液中のS. mutansの数を減少させた理由がわかっていない。その理由が分かれば、菓子や製薬会社にて、「虫歯予防用ガム」の作成も可能であると推測できる。 今後、混合ガムのD-タガトースとキシリトールの配合割合を変化させて、口腔内細菌に対する変化を測定し、D-タガトースとキシリトールの作用の違いを検索したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度、低温保冷庫や電子秤の購入を予定していたが、他の研究費用により購入することができた。ガムの作成を共同研究グループの松谷化学工業の協力により、またガムの使用実験の被験者を、ボランティアにより行っているために、昨年度までの研究費を節約できた。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度、研究の最終年度末に新しい実験結果を得られたために、学会発表や論文作成を本年度に繰り越し、旅費や査読料、投稿料等に使用する予定である。
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