研究課題/領域番号 |
25463249
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
竹下 徹 九州大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (50546471)
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研究分担者 |
山下 喜久 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20192403)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 口腔 / 常在フローラ / 次世代シーケンサー / 16S rRNA / 成熟 |
研究概要 |
本年度は生後6ヶ月以内の乳幼児5名を選出し舌苔検体採取を開始した。対象児の父母に対して研究についての同意を得た後、採取用のチューブと滅菌綿棒を渡し週に一度程度の舌苔検体の採取とその保存について指示を行った。一名の対象児の検体については生後59日から325日までの期間に採取した舌苔検体について含まれるDNAを抽出した後、検体ごとに異なるタグ配列を付与した細菌共通配列である8F (5'- AGA GTT TGA TYM TGG CTC AG -3') と338R (5'- TGC TGC CTC CCG TAG GAG T -3')を用いて16S rRNA遺伝子をPCR法により網羅的に増幅を行った。得られた増幅断片は精製を行ったのちそれぞれの検体が等濃度になるように混合した後次世代シーケンサーの一つであるIon PGM (Life Technologies社)を用いて塩基配列を決定した。解析言語Rを用いて塩基配列のクオリティチェックや由来する検体への振り分けを行った後QIIMEといった細菌群集解析ソフトウェアを用いて得られた塩基配列を分析し、舌苔中に含まれる細菌構成の変動について検討を行った。この結果乳児の舌苔の細菌構成は比較的単純であり、生後1年間舌上の検出細菌種数は徐々に増加していた。また、離乳食の開始を始めた生後6ヶ月程度から細菌構成が複雑化し、StreptococcusやRothiaといった以外の多様な細菌属が検出されるようになることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は対象となる乳児5名を選出することができ、一名についてはその細菌構成の約10ヶ月間の経時的変動を明らかにすることができた。細菌群集解析系についてもある程度確立することができた。一方で対象児の選出が想定よりおくれていることから達成度は「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は対象児のさらなる選出と現在採取している対象児からの検体採取を継続するとともに、得られた検体からのDNA抽出、16S rRNA遺伝子の増幅、塩基配列解析を行いながらそれぞれの細菌構成の変動について順次明らかにしていく。さらに保護者から聴取した発育状況および健康状態の情報と照らし合わせながらフローラの構成変化と関連の認められる因子について検討を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
対象児の選出がやや遅れており、細菌構成解析もそれにより予定より遅れたことで次年度使用額が生じた。 次年度の研究費についてはDNA抽出用試薬、PCR用試薬、次世代シーケンサーION PGMを用いた解析における半導体チップ、試薬等の消耗品への利用を予定している。加えて特徴的な菌種が検出された場合は、定量PCR法も利用することからそれらの試薬にも使用する。
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