研究課題
本年度は新規被験者の追加登録を行うとともに各被験者から採取した舌苔検体を回収した。各検体はDNAを抽出したのち16SrRNA遺伝子を網羅的に増幅し次世代シーケンサーを用いて塩基配列を解読することで含まれる細菌構成を明らかにした。各被験者の父母から発育状況や健康状態および服薬などに関する情報を聴取し、舌苔細菌叢構成の変化と関連する要因について検討を行った。本年度の解析において被験者および検体が追加されても、前年度に行った解析で認められたStreptococcusとRothiaが大勢を占めるシンプルな細菌構成から徐々に複雑化していく傾向はおおむね同様に認められた。多くの被験者でStreptococcusとRothia以外のの細菌属が優勢に検出されるようになる200日前後では多くの被験者で卒乳とそれに伴う離乳食の開始が行われており、また授乳形態が母乳のみではない被験者のほうが初期から細菌構成が比較的複雑な傾向が認められたことから、食形態の変化が舌苔細菌叢の構成に影響を与えている可能性が示唆された。また一卵性双生児では発育状況が異なるにも関わらず細菌構成の変化がよく一致しており、二卵性双生児においては比較的差異が認められたことから舌苔細菌叢の成熟への遺伝的要因の関連も示唆された。本研究の結果は今後「健康な口腔マイクロバイオーム」の発育誘導を目指す新たな予防歯科アプローチの確立に向けて重要なエビデンスになると考えられる。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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