研究課題/領域番号 |
25463256
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
福泉 隆喜 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (50275442)
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研究分担者 |
金久 弥生 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (80582783)
花谷 智哉 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (60649250)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高齢者 / 口腔機能 / 健康状態 / 介護予防 / 歯科医療 |
研究実績の概要 |
平成25年度に引き続き、通所介護事業所を利用している高齢者を対象にコホート調査を実施した。今回は調査開始1年後の状況について報告する。 昨年度対象とした67名のうち、3ヵ月後の調査が実施できたのは58名(平均年齢84.2歳)であった。このうち調査開始後の3か月間で体重が3%以上の減少した者は10名(減少群)、3%以上の増加したものは18名(増加群)、維持していた者は30名(維持群)であった。これら58名対象に、調査開始から1年間の入院歴、体重(BMI)、残存歯数、義歯を含めた機能歯数、咀嚼能力(咀嚼ガム)、RSSTを調査し初回調査結果と比較検討した。 調査開始後3ヵ月から1年後までの期間中、入院はそれぞれ減少群7名、増加群7名、維持群5名であった。入院以外の脱落者は減少群6名、増加群1名、維持群6名であった。減少群では入院および脱落者が有意に多く、また、脱落者のうち2名は死亡で、そのうち1名は窒息が原因であった。 1年後の調査が実施できた45名についてさらに検討したところ、3群間にBMI、残存歯数、機能歯数、咀嚼能力、RSSTのいずれも有意差は認められなかった。これは減少群でこれら調査項目の低値者の脱落が多かったことが影響していると考えられた。そこで、増加群と維持群について検討した結果、維持群のRSSTが3.9回から2.9回へと有意に低下していた。 体重の変化については、食事の摂取状況や代謝など様々な要因が影響していると思われる。今回、減少群では予後の不良な者が多かったが、その原因の1つとして咀嚼 嚥下機能の低下が考えられた。また、維持群においては嚥下機能の低下が示唆された、これにより長期的な体重の減少、さらには全身状態の悪化に繋がる可能性が考えられる。以上のことから、高齢者においては咀嚼 嚥下機能の低下に注意して適切な介入を行うべきであり、特に体重の低下が認められる者に対しては積極的な介入が必要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き、通所介護事業所を利用している高齢者を対象にコホート調査を実施し、調査開始1年後の口腔機能と健康状態を確認できた。対象者の一部に死亡等による脱落が認められたが、45名の対象者について、必要なデータを得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度まで口腔機能と健康状態を確認できている高齢者に対し、平成27年度は運動器機能向上、栄養改善、口腔機能向上の各介護サービスを複合的に実施する介入を行い、口腔機能及び健康状態の改善を確認する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末までに納品が間に合わなかった消耗品があったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の消耗品に充当して使用する予定としている。
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