研究課題
在宅歯科診療と口腔ケアの推進により、口腔所見と全身状態とが関連していることが知られるようになってきた。わが国では、舌診と呼ばれる舌所見の診断法があるが、臨床ではあまり応用されてこなかったが、近年の研究で全身状態との関連性が明らかになりつつある。臨床応用を推進するためには、舌の所見をより客観的に評価することが重要となる。そこで本研究では、とくに、舌乳頭に着目して、その色調や形態を、客観的に評価する手法について検討し、舌乳頭の客観的評価を可能として、これまでに明らかになっている研究結果を組み合わせることで、広く、予防医学や臨床医学に応用することが必要であることから、舌粘膜の萎縮度に着目して、これを客観的に評価する方法について検討した。その結果、舌乳頭のシリコンラバー印象面の表面粗さと臨床的萎縮度については、統計学的に有意な相関性があることが認められたまた、色調については、RGB値の平均値から離れるにしたがって、有意に全身状態の問診票で体調不良に位置する結果と関連することが認められた。さらに、舌先端部の赤色度が平均値よりも高い場合は、口呼吸や喉の症状と有意に関連していた。舌中央部の赤色度については、逆に平均値よりも低い場合に、胃腸症状と有意に関連していた。画像データの解析ソフトによる検討では、萎縮度の高い場合と萎縮のない正常範囲と思われる症例の場合とは、データが異なることが認められた。以上の結果から、舌乳頭の萎縮度や色調を客観的に評価できる可能性が認められた。デジタルデータによる萎縮度の解析については、今回は統計学的な解析を行うには、症例数が少なく、今後、症例数を増やして、解析していくことが必要と思われた。今後は、より客観的な評価方法を確立するために、解析ソフトの改良あるいは解析方法の検討が必要と思われた。
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ヘルスサイエンス・ヘルスケア
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日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌
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