研究課題/領域番号 |
25463263
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
杉山 哲也 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (50216347)
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研究分担者 |
石田 瞭 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (00327933)
大久保 真衣 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (60385218)
眞木 吉信 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (80125012)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 摂食・嚥下機能 / 検査法 / 要介護高齢者 / スクリーニング検査 |
研究概要 |
特別養護老人ホーム入所中または在宅療養中の摂食・嚥下障害が疑われ、嚥下内視鏡検査を受けた要介護高齢者36名(男性13名、女性23名、平均年齢83.00±8.15歳、要介護度2~5)に対し、The Mann Assessment of Swallowing Ability(MASA)を行った。誤嚥の有無および咽頭残留の有無で対象者を2群に分類し、MASAの合計点を比較した。誤嚥の有無のMASA合計点の比較では、誤嚥の有無の2群間に統計学的に有意な差が認められたが、咽頭残留では有意な差はなかった。また、今回求めた誤嚥のカットオフ値は、オリジナルのカットオフ値を用いた場合より感度は低いが特異度は高い結果となり、オリジナルよりも確定診断に適していることが分かった。 さらに要介護高齢者の摂食・嚥下機能の評価法としてMASAを使用する場合の、評価項目の有用性を検討することを目的とした研究を行った。対象は特別養護老人ホームや介護付老人ホームに入所中または在宅療養中であり、摂食・嚥下障害が疑われて嚥下内視鏡検査を受けた要介護高齢者50名(男性21名、女性29名、平均年齢82.5±7.8歳、要介護度2~5)とした。その結果、MASAの各評価項目のスコアは、誤嚥の有無では17項目、咽頭残留群では9項目で誤嚥群および咽頭残留群のスコアが低くなる傾向が認められ、2群間で有意な差が認められた(p < 0.05)。そのうち「協調性」「舌の筋力」「舌の協調運動」「口腔準備」「口腔通過時間」「咳反射」「咽頭相」「咽頭の反射」の8項目は、誤嚥および咽頭残留ともに2群間で有意な差が認められた。これらの項目は認知機能やADLの低下により課題の理解が困難な要介護高齢者でも、その影響を受けずに摂食・嚥下機能を評価することが可能であったと考えられ、要介護高齢者の摂食・嚥下障害の評価に適していると思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究で、要介護高齢者を対象としたThe Mann Assessment of Swallowing Ability(MASA)による誤嚥リスクの判定と、嚥下内視鏡検査で評価した誤嚥や咽頭残留の有無との関係を検討し、スクリーニング検査としてのMASAの特徴を概ね把握することができた。 次年度からはこの結果を基にして、包括的でより簡便な摂食・嚥下機能の評価法のための項目を抽出し、新たな検査法の原型を提案したい。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究から、MASAの評価項目より8項目が要介護高齢者の摂食・嚥下障害の評価に適しているということが分かったが、調査対象者を増やし、その妥当性について検証を行っていきたい。その結果から多職種でも評価が可能である検査法の原型を作り出したいく。
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