研究課題/領域番号 |
25463263
|
研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
杉山 哲也 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (50216347)
|
研究分担者 |
石田 瞭 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00327933)
大久保 真衣 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (60385218)
眞木 吉信 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (80125012)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 摂食機能障害 / 検査法 / 要介護高齢者 / スクリーニング検査 |
研究実績の概要 |
我々は要介護高齢者の摂食嚥下機能を評価するスクリーニングテストを開発するために、急性期脳卒中患者の嚥下障害の重症度の評価法であるThe Mann Assessment of Swallowing Ability(MASA)に着目し、その評価項目や診断精度に関する検討を行ってきた。まず、MASAが要介護高齢者の摂食嚥下機能の評価としても使用可能であることを報告した。次いで誤嚥や咽頭残留のスクリーニングとして有用なカットオフ値について検討を加えた。その結果、誤嚥では122点、咽頭残留では151点のカットオフ値を用いると、MASAオリジナルのカットオフ値170点を用いた場合に比べて感度は劣るが特異度と陽性尤度比は高くなり、スクリーニングとして良好な診断精度を得ることができた。 さらに我々は、MASAの改良版である急性期脳卒中患者の摂食嚥下機能障害を12項目、100点満点で評価するModified Mann Assessment of Swallowing Ability(MMASA)について、要介護状態の慢性期脳卒中患者に応用した場合の診断精度について検討した。対象は東京歯科大学水道橋病院および千葉病院の摂食嚥下リハビリテーション科に嚥下内視鏡(VE)の依頼があった34名(男性22名、女性12名、平均年齢80.1±7.4歳)とした。MMASAの合計点とVEの結果よりROC曲線を作成し、最適な判定値の検討および診断精度の算出を行った。MMASAの合計点の平均は78.1±10.7点であり、判定値を94点にした場合の感度は92.6%、特異度は14.3%であった。特異度は低い結果となったが正診率は76.5%であることから、MMASAが94点以下の場合には専門医による精査を検討する必要があることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
包括的な口腔機能評価法の開発を目指し、簡便かつ様々な職種が理解しやすい評価方法を検討しているが、精度、特異度ともに優れた評価項目の抽出と、異常ありと判定する基準の設定に、当初の想定以上の時間を要している。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、我々が開発する包括的な口腔機能評価法は、簡便で様々な職種の人が理解しやすいものであるという事を優先する。また、異常を発見するためのスクリーニング検査として、ある程度の精度を有する事を重視し、特異度については許容範囲の値になるようにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初は平成27年度で研究を終了する予定であったが、開発中の口腔機能評価法の妥当性の検証に当初の想定以上の時間を要し、研究期間を1年間延長したために次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
追加すべき研究に関する物品費、成果発表のための旅費、論文作成費に充てる予定である。
|