研究課題/領域番号 |
25463265
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
大久保 昌和 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (90307877)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯科医学教育 / バーチャルペイシェント / 疼痛学 / 睡眠医学 / 口腔顔面痛 / 顎関節症 / ブラキシズム / モバイルラーニング |
研究実績の概要 |
平成 22 年度歯科医師国家試験出題基準では歯科医学領域の新たな病態として口腔顔面痛,ブラキシズム,睡眠時無呼吸症候群が追加された.本研究の目的は,疼痛学および睡眠医学に関する臨床判断能力の習得とエビデンスに基づく治療法の選択のために,バーチャルペイシェントを作成し,患者や学習者に危険のない安全な環境で,時間や場所にとらわれず何度でも繰り返し行えるウェブ配信型の学習システムを開発、運用し公開する.さらに将来予想される歯学教育認証を見据え,歯科医学における新進の領域である疼痛学と睡眠医学の教育基準を提言することにより歯科医学生の質を担保し,歯科医療の質の向上を図り,国民医療に貢献することである. 26年度はバーチャルペイシェント学習システムの構築とシナリオの製作、学習管理システムの運用の準備を進めてきた。 研究成果の発表に関しては、これまで学習管理システムを用いて歯学部学生のカリキュラムの中で研究マインドの涵養を目的とした口腔顔面痛やブラキシズムの有病率調査(横断研究の体験)を行い、学会発表を行った。また、第27回日本顎関節学会(シンポジウム:顎関節症の病因としてのブラキシズムの役割を探る)にてシンポジストとして顎関節症とブラキシズムとの関係についての現在の理解という講演を行った。さらに、歯科医学教育における疼痛学,睡眠医学や教育基準の文献的調査研究として世界の口腔顔面痛学の研究、教育の現状について学会発表と誌上発表を行った。その他関連する内容についても口頭、誌上発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
25年度に構築したシステムを用いて、複雑な口腔顔面痛患者についてシナリオのデザインはほぼ完成しているが、学習管理システムへの学習者登録やログイン、パスワードの設定、学外からのアクセスなどについて専門的知識と技術指導が必要となり、カリキュラムの設定などについて遅延が生じた。26年度末までに学習管理システムのサポート会社技術者から専門的知識と技術の提供を受け、26年度に予定していた学習者への教材の提供環境が整ったところである。
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今後の研究の推進方策 |
(今後の推進方略) 27年度は引き続き学習管理システムのサポート会社技術者から専門的知識と技術の提供を受けながら、上半期には予定していた構築したシステムから学習者にバーチャルペイシェントを配信し学習教育効果に関するデータ収集を行う予定である。 また、口腔顔面痛学ホームページを開設し,本研究で開発を進めているウェブ配信型バーチャルペイシェント教育システムを公開する。ホームページの開設に当たってはデザインや運用,法規などについて技術者より専門的知識と技術の提供を受けながら予定である。 歯科医学教育における疼痛学,睡眠医学の具体的な教育方略の開発しと並行して,これまで報告されている卒前,卒後の教育基準の文献調査の総括を行い,我が国の教育,医療システムに適合するよう吟味し,標準化した教育基準を学会発表あるいは論文を通じて提言する予定である。さらに、27年度上半期に研究協力者からすでに運用されている、バーチャルペイシェントシステムや学習者(歯学部学生)に対する課題の設定や、評価法などについての専門的知識の提供と技術指導を受ける予定である。シナリオの作成(症例報告を含む)やシステム運用に関わる研究機関内の研究協力者として飯島守雄(准教授)、小出恭代、郡司敦子、井上正安、義隆淑子(助手)、桑島 梓(大学院生)を指定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度に予定していた専門的知識の提供について、25年度に構築したシステムから学習者への教育素材の配信、評価の過程で遅延が生じていることや研究協力者と研究代表者とのスケジュールの関係で延期となっていた。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度初頭に研究協力者からすでに運用されている、バーチャルペイシェントシステムや学習者(歯学部学生)に対する課題の設定や、評価法などについての 専門的知識の提供と技術指導を受けるためUniversity of Southern California (Glenn Clark教授)を訪問する予定である。また、2014年に国際的運用を目的に開発された顎関節症の診断基準(Diagnostic Criteria for Temporomandibular Disorders)に関する専門的知識の提供と技術指導を受けるため、そして、ヨーロッパにおける口腔顔面痛教育に関する研究調査のためAarhus University (Peter Svensson教授)を訪問する予定が決定しており、次年度使用金はこれに充てる計画とした。
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