研究課題/領域番号 |
25463267
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
伊藤 弘 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (30184683)
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研究分担者 |
埴岡 隆 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (00144501)
王 宝禮 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (20213613)
山本 龍生 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (20252984)
両角 俊哉 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (20444151)
藤井 健男 松本歯科大学, 歯学部附属病院, 教授 (30173389)
森田 学 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40157904)
稲垣 幸司 愛知学院大学短期大学部, その他部局等, 教授 (50211058)
沼部 幸博 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (90198557)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 喫煙 / 禁煙 / 歯周病 / 歯肉溝滲出液 / 血漿コチニン / 超過医療費因子 |
研究概要 |
歯科領域における禁煙治療の健康保険導入には、日本人における禁煙による明らかに良好な治療成果の獲得と医療費軽減に関するエビデンスの構築が必須である。そこで本研究は、次の2大項目を目的とした。1)禁煙治療介入による歯周基本治療の臨床的・生化学的治療効果、2)禁煙治療介入による医療経済学的手法による医療費の変化 本研究では、超過医療費因子である喫煙を、禁煙外来受診により、禁煙が達成できることを前提とし遂行した。そこで、パイロット研究として、禁煙外来受診を行わない場合の禁煙が、禁煙達成マーカーである生体内のコチニン量に変化が生じるか検索した。その結果、喫煙習癖のある被験者での禁煙期間は最長で10日という短いものとなった。このパイロット研究は、自己の意思による禁煙は困難であることを、歯科人間ドック学会誌にて公表した。一方、7名の禁煙外来の受診では、1名の脱落者(嘔吐感)が出たものの、禁煙外来受診により禁煙達成は成功した。しかしながら、禁煙外来受診期間である12週での、歯肉溝滲出液(GCF)と血液成分を用いた解析では、生体内コチニンと呼気CO濃度の減少は認めたものの、他の酵素・サイトカイン・タンパクの変化は認められなかった。この禁煙外来受診の結果は、第56回秋季日本歯周病学会にて発表した。また、より詳細なGCF検査遂行のために、出血反応・アルカリフォスファターゼ・pHなどの各種タンパクの測定を応用できる可能性を、第56回秋季日本歯周病学会、さらに日本歯科保存学会2013年度秋季学術大会にて発表した。なお、今後の研究の展開については以下に記載する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は禁煙外来受診者7名、喫煙者(禁煙外来非受診者)4名、非喫煙者4名に対して検索を行い、秋季日本歯周病学会にて発表を行なった。禁煙外来受信者は1名ドロップアウトが認められた。結果としては、血液成分に観察されるコチニン量とCO呼気濃度の減少が観察され、GCFと血液に観察される禁煙達成の有効なマーカーは観察されなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度では、禁煙外来受診による生化学的検索データの変化は、コチニン量とCO呼気濃度であった。そこで、禁煙外来受診期間である約12週間での短期間で生じる変化候補項目として、GCF・唾液の細菌検査を加えたいと考えている。方法は、T-RFLP法(Terminal Restriction Fragment Length Polymorphism)による遺伝子解析を行う予定である。さらに、期間を12週以上(24週以上)を設定し、長期的に観察する。また、喫煙により毛細血管の収縮が生じることから、禁煙による歯周組織変化は特に出血反応と大きく関連している。そこで、ヘモグロビンとルミノール反応に関する項目(平成25年度には実施)の検出感度調整を行う。さらに、血液コチニン量の著しく変化した被験者の限られたGCFから、タンパクの分画を電気泳動にて観察を行なう予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
禁煙外来受診者、喫煙者(禁煙外来非受診者)、非喫煙者の各群の合計被験者は15名であった。そのうち、禁煙外来受診者は1名脱落した。その被験者から得られたデータの生化学的解析を行なった。やはりサンプルサイズが小さいが故に、物品購入が当初予定していた予算を大きく下回った経緯がある。また、今回測定した解析方法は、当研究室にて所有している試薬・消耗品のストックにて賄えた経緯があった。 さらに、超低温フリーザーの購入予定は、本大学併設の共同利用研究施設所有の超低温フリーザーに保管スペースの確保が確認できたため、今年度見送ることとなった。 まずは、被験者のさらなる増加を目指すことと、平成25年度に予備的に検索したT-RFLP法(Terminal Restriction Fragment Length Polymorphism)による遺伝子解析を行う予定である。さらに、平成25年度で行なった観察期間12週を24週以上に設定し、長期的に観察する。さらに今後の研究の推進方策に記載したように、禁煙による歯周組織変化は特に出血反応と大きく関連しているため、ヘモグロビンとルミノール反応に関する項目(平成25年度には実施)の検出感度調整を行う。さらに、血液コチニン量の著しく変化した被験者の限られたGCFから、タンパクの分画を電気泳動にて観察を行なう予定である。
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