研究課題/領域番号 |
25463276
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
梅本 丈二 福岡大学, 医学部, 講師 (30320287)
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研究分担者 |
坪井 義夫 福岡大学, 医学部, 教授 (90291822)
古谷 博和 高知大学, 医歯学系, 教授 (60253415)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 嚥下圧 / 舌圧 / 神経筋疾患 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、主に筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の舌圧と嚥下圧の関係について調査を行った。調査対象は、ALS患者17名(男性7名、女性10名、平均年齢68.6歳)とした。評価時の食形態は、常食が2名、軟飯・粥食が8名、ミキサー食が5名、経管栄養が2名であった。また、病歴から球麻痺型11名、四肢麻痺型6名に分類した。評価時の日常生活動作(ADL)を日本版ALSFRS-Rを用いて評価した。舌圧測定後に嚥下造影検査(VF)と嚥下圧検査を同時に行った。舌圧測定には口腔内バルーン式簡易測定装置を用い、嚥下圧測定は圧センサーを設置したカテーテルを食道入口部まで挿入し、嚥下運動前後での下咽頭部と食道入口部の圧変化を解析した。その結果、食形態とALSFRS-Rの間には有意な相関関係を認めた(R=0.598,p=0.017)。最大舌圧値は、下咽頭部の嚥下圧とは有意な相関関係を認めなかったが(R=-0.094,p=0.731)、食道入口部の圧変化とは有意な相関関係を認めた(R=0.584,p=0.046)。また、食形態やALSFRS-Rと、舌圧や嚥下圧との間には有意な相関関係は認めなかった。球麻痺型と四肢麻痺型の患者を比較すると、ALSFRS-R(p=0.489)や下咽頭部の嚥下圧(p=0.248)に有意差はなかったが、舌圧(p=0.045)と食道入口部の圧変化(p=0.013)は球麻痺群の方が有意に低値であった。以上の結果から、ALS患者の舌圧と食道入口部の圧変化は並行して低下している可能性があり、特に球麻痺型の患者で著明な低下を示した。また、ALS患者はADLの低下に伴って食形態が調整される傾向にあったが、舌圧や嚥下圧の低下とは必ずしも相関しておらず、各身体機能障害の進行度にはばらつきが大きいことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、筋強直性ジストロフィー患者12名のデータともとに学会発表を行い、その後も症例数を重ねている。平成26年度は、筋萎縮性側索硬化症17名のデータについて検討することができ、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
デュシェンヌ型筋ジストロフィーについても症例数が確保できつつあり、データをまとめて、学会発表を予定している。さらに、筋強直性ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの3疾患については、データを比較検討し、今後の学会発表と論文発表につなげたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
翻訳・校閲料の必要額、必要時期に誤差が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の翻訳・校閲料に追加して使用する予定である。
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