研究課題
我々は、乳酸菌Lactobacillus salivarius WB21株 (Ls WB21) が口臭に与える影響を検討するために、口臭患者を対象としたランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験を実施した。その結果、官能検査値はWB21期とプラセボ期で共に有意に改善した。揮発性硫化物 (VSCs) はWB21期で有意な減少がみられ、プラセボ期との間に統計学的有意差が認められた。臨床パラメータについては、WB21期ではプラセボ期に比較して歯周ポケットの有意な減少がみられた。唾液中の細菌の定量解析では、WB21期ではプラセボ期に比較して全菌数とVSCs産生能を持つFusobacterium nucleatumの菌数が有意に減少した。このように、WB21配合タブレットの摂取は、口臭および口臭に関連する因子に効果があることが明らかになった。乳酸菌の作用のひとつとして菌が産生する乳酸による殺菌作用が挙げられるが、一方で強酸はエナメル質を脱灰しう蝕進行を促進する可能性がある。そこで乳酸菌配合タブレットの摂取がう蝕リスク因子に与える影響を調べるために、Ls WB21配合タブレットおよびLs LS1株配合タブレットを用いた臨床実験を行った。その結果、WB21タブレットは唾液中のミュータンスレベルを減少させた。LS1タブレットは唾液緩衝能を有意に増加させた。またどちらの乳酸菌配合タブレットも摂取後に唾液pHを低下させることはなかった。これらのことから、乳酸菌配合タブレットはう蝕リスクとならないことが明らかになった。
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