研究課題/領域番号 |
25463281
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
平野 浩彦 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 専門副部長 (10271561)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 認知症 / 摂食嚥下障害 / アルツハイマー型認知症 / 変性疾患 |
研究実績の概要 |
【目的】アルツハイマー型認知症(AD)は変性性認知症であることから、ADを対象として、進行に伴う摂食・嚥下障害などの変化様相を把握することを目的に調査検討を行い昨年度一定の知見を得た。今年度はケア方法(医療的介入法)の検討の基礎データを作成する目的に、身体機能低下の予知因子として注目されている骨格筋量も含め検討を行った。 【対象・方法】ADの診断がなされている232名(女性 201名 平均年齢85.4±5.9歳))を対象として検討を行った。調査項目は性別,年齢,日常生活動作指標(Barthel Index),認知症重症度(CDR、FAST),栄養状態(MNA-SF,血清アルブミン,BMI,Skeletal Muscle Index :SMI,下腿周囲径,大腿周囲径),筋力(握力,ピンチ力),歩行機能(5m通常歩行,5m最大歩行),口腔内所見(残存歯数,機能歯数,臼歯部咬合状態),口腔機能(咬筋触診,オーラルディアドコキネシス,咳テスト,リンシングの可否),摂食嚥下機能(改訂水飲みテスト,反復唾液嚥下テスト)であった。 【結果・考察】AD高齢者はADの進行だけでなく、口腔、嚥下機能の低下も関連して、骨格筋量が低下するとの仮説に基づき、横断研究を実施した。結果、AD高齢者の骨格筋量低下にはADの重度化のほか、嚥下機能低下も関連することが示唆された。また、骨格筋量は軽度よりも重度AD高齢者において顕著に低下を示していたことから、AD高齢者の骨格筋量低下については嚥下機能低下に注目する必要があると考える。つまり、AD高齢者への対応はAD進行とともに生じる身体機能も摂食嚥下機能に影響していることが示唆された。今後、変性疾患を意識した身体機能も含めた評価が摂食嚥下機能維持および栄養マネジメントに必要であることを検討する必要性が浮き彫りになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
摂食・嚥下機能障害を変性疾患(AD)が原因の障害として捉えた、評価法および経時的変化に対応したケア方法(医療的介入法)考案に資するデータ蓄積および解析を行い、論文作成、学会発表を行った。以上から「おおむね順調に進展しいる」とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、ADを中心とした調査を行いデータの集積ができた。今後DLBも含めデータを集積し、以下の課題に関して調査検討を行っていく予定である。 課題1:AD特にDLBの重症度別における摂食・嚥下機能障害の整理が不足している。 課題2:AD、DLBの摂食・嚥下機能障害を変性疾患が原因の障害として捉えた、評価法および経時的変化に対応したケア方法(医療的介入法)の検討がなされていない。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度調査事業は、調査フィールドが近隣で旅費が予定額より安価で調査が実行できた。また、調査員の謝金支配が不要(調査員が大学院、研修医などで、調査が研修などの一環と見なされたため)であったため人件費などが不要となった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は研究事業最終年度のため、この2年間調査を行ったフィールド(秋田、横浜、清洲など)の追跡調査(400人規模)、およびDLB患者データ収集を引き続き行う。収集した情報のデータフォーマット構築管理、解析を行う。さらに得られた知見を海外学会も含め積極的に発表し、論文化を進める。
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