研究課題/領域番号 |
25463282
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研究機関 | 独立行政法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
渡邊 裕 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 口腔疾患研究部, 室長 (30297361)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 認知症 / 食行動関連障害 / 孤食 / ミラーニューロンシステム / 栄養状態 / 食欲 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、認知症に伴う食行動関連障害への対応について検証することである。そこで、平成25年、26年度はもの忘れ外ら受診中の認知症患者を対象に孤食と食行動関連障害の関係について検討した。また、平成26年度からは軽度認知障害患者を対象に各種脳機能計測装置等を用いて、脳の解剖学的変化、ミラーニューロンと認知機能に関連した脳機能の状態を包括的に検索した。平成27年度からは軽度認知障害患者に対して、孤食の制限と嚥下運動に関するミラーニューロンシステムを賦活するプログラムの提供が、食行動関連障害を抑制する可能性について検討する。 孤食と食行動関連障害の関連を明かにするため、平成26年度までに国立長寿医療研究センターのもの忘れ外来を受診した延べ2291名の患者(1年後の2回目評価を行った軽度認知機能障害患者225名含む)を対象として、基礎情報、認知症の原因疾患、認知機能、うつ傾向、栄養状態、Barthel Index、Vitality Index、食欲など食行動関連障害に影響する因子を調査し、孤食が食行動関連障害の発現にどの程度影響しているか検討した。 対象者の認知症の内訳(確定診断済み)はアルツハイマー型868名、レビー小体型117名、脳血管性398名、軽度認知機能障害274名、健常者64名であった。分析の結果、孤食と他の因子との間に有意な関係は認められなかった。しかし、アルツハイマー型認知症に関しては、認知機能に食欲および低栄養が有意に影響していることが示唆された。そこで、各種脳機能計測により112名の軽度認知障害患者の脳の解剖学的変化とミラーニューロンと認知機能に関連した脳機能の状態について検索した。平成27年度からは軽度認知障害患者の孤食制限と嚥下に関するミラーニューロンシステムを賦活するための映像プログラムによる介入調査を行う予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗状況についてはおおむね順調に進展している。 軽度認知障害患者に対する孤食の制限と嚥下運動に関するミラーニューロンシステムを賦活するプログラムの提供に関しては112名の軽度認知障害患者から参加の同意を得て、現在介入前の脳機能計測を行っている。また介入プログラムに関するマニュアルも完成し、介入開始の準備段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の結果からアルツハイマー型認知症に関して、認知機能に食欲および低栄養が有意に影響していることが示唆されたことから、平成26年度は経時的変化について検討するため現在までに軽度認知障害患者225名のデータを採取した。平成27年度は、軽度認知障害患者を対象に孤食の制限と嚥下運動に関するミラーニューロンシステムを賦活するプログラムによる介入調査を実施する。
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