研究課題/領域番号 |
25463288
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
三木 明子 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30315569)
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研究分担者 |
日下 修一 獨協医科大学, 看護学研究科, 准教授 (00566614)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 患者の暴力 / 医療安全 / KYT研修 / 職員教育 / 暴力の対応 / 警察OB |
研究概要 |
平成25年度は、①暴力のKYT研修や医療安全養成者研修に参加した204名への質問紙調査、②病院に勤務する5名の警察OBへのヒアリング調査、③2ヶ所の刑務所の視察と刑務官へのヒアリング調査を実施した。①~③の結果に基づき、医療安全力を高める体制を醸成するツールとして、暴力防止啓発ポスターならびに暴力のKYT場面集を作成し、研究成果をホームページに公開し、ダウンロードできるようにした。 山形県看護協会が開催した医療安全管理者養成研修で、患者暴力への対応力を高める職員教育を6時間実施し、10段階評価で研修満足度は8.41点、研修重要度は8.63点と高い評価を得た。優先順位の高かった研修内容は、暴力の価値基準によるチーム内の意思決定プロセス(29.6%)、暴力のKYTによるチーム行動目標の立案(27.8%)、暴力発生時の具体的対応(21.3%)等の順であった。また山梨医療安全研究会で暴力のKYT研修を3時間実施し、研修満足度は8.64点、研修重要度は8.58点と高い評価であった。暴力のKYT研修で取り上げてほしい場面の調査結果を生かし、暴力のKYT場面集を作成した。 警察OBのヒアリング調査に基づき、警察OBと共同監修で暴力防止啓発ポスターを6種類作成した。各医療機関の患者の暴力の実情にあわせ、ポスターを掲示できるようにタイプの違うポスターを用意し、希望の医療機関にポスターを配布した。また、ホームページ上に、ポスターおよび暴力のKYT場面集を公開し、ダウンロードが可能な状況に設定した(http://www.md.tsukuba.ac.jp/nursing-sci/mentalhealth/seika.html)。 研究分担者と2ヶ所の刑務所を視察し、刑務官に受刑者からの暴力発生時の対応方法や職員教育の実際、安全体制についてヒアリングを行い、情報を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、警察OBと病院職員を対象に量的調査を実施し、患者・家族の暴力の対応と医療安全の体制の実態と課題を抽出する計画であった。しかし、ヒアリング調査の結果、患者の暴力の対応が分からないこと、そのような職員教育が行われていない現状が課題として挙げられ、量的調査を実施するまでもなく課題が明確となった。そのため、平成26年度に実施する計画であった職員教育を2団体において実施し、質問紙調査の結果から、研修内容の満足度と重要度ともに高い評価を得た。平成26年度に医療安全力を高めるためのツール開発を予定していたが、暴力防止啓発ポスターならびに暴力のKYT場面集を作成するに至っため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、暴力防止啓発ポスターを広く周知し、全国の多くの病院で活用いただくことを目指す。ポスターを掲示いただいた病院関係者の意見を参考に内容の修正を行う。また、ポスターの種類を増やす予定である。 暴力のKYT場面集を使用した病院職員の研修を行い、さらに改良を加え、有用性の検証を行う。また、モデル病院あるいは医療安全養成者研修会にて、職員教育を実施し、短期効果を検証する。 作成予定のツールである暴力対応のマニュアルと解説等を完成させる計画である。
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