研究課題/領域番号 |
25463290
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
田中 裕二 千葉大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (40179792)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 神経科学 / 神経生理学 / 看護技術 / 高次脳機能 / 意識レベル / 意識障害 / 感覚刺激 / 科学的根拠 |
研究実績の概要 |
平成27年度は,健康な成人6名(男性1名,女性5名;平均年齢22.3±1.24歳)を対象に,足浴[A],音楽聴取[B],足浴と音楽聴取の併用[C]の3種類の刺激が生体に及ぼす影響について,生理学的指標(脳波,自律神経活動,心拍数)および心理学的指標から検討を行った。実験は,最初の5分間を安静時間とし,これを対照(コントロール)とした。その後,15分間の刺激を与え,刺激終了後は20分間の回復経過を観察した。足浴には足浴器「冷え取り君 マイコンプレミアム」(高陽社;FB-C80)を用いた。湯温はリラックス効果の高いといわれる38℃に設定した。また,音楽刺激には広橋真紀子監修「自律神経にやさしい音楽」(株式会社デラ)を使用した。 脳波では,δ波帯域(2Hz以上~4Hz未満)において,足浴のみでは安静時(対照)と比較して有意な変化はみられなかったが,音楽聴取のみでは刺激開始10分後で有意な増加,足浴と音楽聴取の併用では刺激開始10分後,15分後,刺激終了後5分,10分,15分で有意な増加がみられた(p<0.05)。α波帯域(8Hz以上~13Hz未満)において,3種類の刺激すべてにおいて有意な減少が認められた。心拍数では,安静時と比較して音楽聴取のみ,足浴と音楽聴取の併用で刺激5分後~刺激終了後10分で減少し,有意差(p<0.05)または有意傾向(0.05≦p<0.1)がみられた。心理学的指標では,刺激前後の比較においてポジティブな項目(「幸福である」「うれしい」「心地よい」「楽しい/面白い」)の合計点では,足浴のみが9%増加,音楽聴取のみが9%増加,足浴と音楽聴取の併用で42%の増加がみられた。 以上のことから,今回の3種類の刺激条件では脳活動を賦活化させる効果を示さなかったことから,今後,足浴の温度や聴覚刺激の条件についての検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度(平成25年)9月から研究室のある建物が改修工事になり,その移転準備などを含めて約1年間,実験を行うことができなかった。また,平成26年10月から教室員の欠員などにより業務が多忙になり,研究が十分に行えず,また,予定していた海外出張も実施できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
1.意識障害患者に対する看護援助技術の実態調査(国内および海外) 意識障害患者に対して意識レベルを改善する目的で行われている種々の看護援助技術について国内外の文献を検討するとともに,国内および海外の施設において実態調査を行い,そのエビデンスを明らかにする。具体的には,欧米諸国における意識障害患者に対する看護援助について,どのような生理的メカニズムに作用することを目的に実施されているのかについて明らかにする。また,看護ケアの文化的な相違についても検討するために,アジア地域として大韓民国(韓国)での看護援助技術について調査することで,欧米およびアジア諸外国における意識障害患者に対する考え方や看護技術について文化的な背景を視点に検討する。
2.実験研究の実施 今までの研究報告から,背面開放座位は意識レベルの改善に効果があることが示されている。さらにどのような刺激を背面開放座位実施時に併用すれば意識レベルの改善に効果があるかについて,健康な成人(20~30歳代)を被験者として,覚醒レベルと刺激の種類(痛覚刺激,聴覚刺激,芳香刺激など)および刺激強度との関係を生理学的指標(覚醒レベル,脳波,自律神経活動,筋電図,体性感覚誘発電位,バイタルサインなど)および心理学的指標から検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度予定していた看護ケアの文化的な相違について検討するための海外視察が日程的な問題で実施することができなかったために次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
看護ケアの文化的な相違について検討するために,アジア地域として大韓民国(韓国)とヨーロッパ地域としてフランス共和国の訪問を計画している。
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