研究課題/領域番号 |
25463296
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
會田 信子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80291863)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 多職種連携教育 / 教育方法 / 協同学習 / 協同作業認識尺度 / 仮想的有能感 / 対人葛藤方略スタイル / ソーシャルサポート |
研究実績の概要 |
協同学習を基盤とする多職種連携教育メソッド(IPEメソッド)のあり方への示唆を得るために、東海地方の看護系大学の学生159名の協同学習に対する認識の実態と影響要因を明らかにした。協同作業認識尺度の3つの下位因子(協同効用,個人志向,互恵懸念)の平均値から8分類した結果、「協同作業倦厭群」28.2%、「協同作業消極群」20.6%、「協同作業積極群」17.6%、「互恵懸念群」10.7%などの順に多かった。有意な影響要因として、学年、大学での学習満足度、職業意識、高校での協同学習体験が確認された。仮想的有能感との関係では、個人志向得点において、「仮想型」(p=0.003)と「全能型」(p=0.015)が「自尊型」よりも有意に高値だった。対人葛藤方略スタイルとの相関関係では、協同効用と「統合スタイル」(r=0.407,p<0.001)、個人志向と「強制スタイル」(r=0.201,p<0.05)、個人志向と「統合スタイル」(r=-0.175,p<0.05)の結果だった。ソーシャルサポート(評価的,情報・道具的,情緒・所属的サポートの3因子)との関係では、協同効用とソーシャルサポートの3因子で有意な正の相関(r=0.389~0.417,p<0.001)が、互恵懸念では3因子で有意な負の相関関係(r=-0.305~-0.243,p<0.001)がみられた。以上の結果をもとに、協同作業に対する認識に働きかけるIPEメソッドのあり方を検討していく必要性が示唆された。 なお、IPEメソッドの洗練化については、IPEネットワーク5大学教員との定例会で、意見交換を行う中で、課題等を確認していった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度の目標の1つであるIPEメソッドの洗練化については、IPEネットワーク5大学からの意見交換をもとに準備等を進めた。しかし実施段階において、医学部の正規IPEカリキュラムとの日程調整困難やIPEプログラムの内容の重複、それに伴うボランティア参加学生への負担、教育方法の意見調整困難などの諸事の課題により、平成26年度のIPEメソッドの実施が困難となり、全体的に進捗が遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者の県外への施設異動に伴い、平成26年度の研究実施上の課題はさらに解決困難となることが推測された。研究遂行に伴う人的ネットワークや物理的環境などを総合的に検討した結果、平成27年度以降の方策として、平成26年度に実施した調査によって、IPEメソッドへの示唆が得られたので、本研究課題の2つ目の研究目的である「IPEパフォーマンス評価指標の開発」に重点を置いて進めていく予定である。
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