本研究の目的は、視覚障害を有する患者が理解しやすい点字の医療文書の自動生成の実現である。通常の漢字仮名混じり文をそのまま点訳した場合、点字は表音文字であるために文字数が増大し文書量が過大になると共に、同音異義語や敬語は理解を妨げる可能性が高い。そこで、点字文書に最適な文章表現の解析、点字文書向け表現に自動変換するプログラムの研究開発、を実施する。 前年度に実施した、本院の外来案内と入院案内健常者向けの文章(変換前の文章)と点訳用の文章(変換後の文章)の構文解析結果を精査した。文節数の比較では、変換後の文章は変換前の約8割に減少していた。また、1文中10文節以上の文章が占める割合は、変換前の文章は全体の約2割、変換後の文章は約1割であった。今回の精査結果から、簡潔な文章への変換には、和語から漢字熟語への変換、等語句の言い換えと、文節の削除が考えられ、プログラムに実装するためには、前者は言い換えのデータベースが必要であり、後者は文節間の係り受け関係を基に削除対象の文節を判定する必要があると結論した。本研究成果は、第16回日本クリニカルパス学会学術集会にて発表し、座長賞を共同受賞した。
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