深部静脈血栓症(俗称:エコノミー症候群など)予防としての足浴の効果を心臓足首血管指数(CAVI),深部組織酸素動態を指標として血流動態及び調節機構から多角的に検討する. 若年女性において月経周期におけるエストロゲンの変動が動脈硬化指数に及ぼす影響が明らかになっていないため,月経周期を考慮する必要の有無について検証した.月経1サイクル中に心臓足首血管指数は,有意な変化が認められた. 外気温は心臓足首血管指数,体温及び自律神経調節に影響を及ぼすかについて,平均気温,最高気温,最低気温とも有意に異なる外気温条件のもと,実験室内での安静時における各指標に及ぼす影響について検討した.外気温の影響により大腿,ふくらはぎ,足部の温度は有意に異なったが,心臓足首血管指数,血圧及び自律神経調節には差が認められなかった.若年男性においては必ずしも外気温と循環指標の変化が一致しない可能性が考えられた. カイロ等を代用した局所加温が,深部静脈血栓予防効果に及ぼす影響について検証した.局所皮膚加温(使い捨てカイロなどの代替療法)は足浴と同様の効果が得られるかについて足浴と同じ時間加温を行った.加温具の貼付場所は足背部,足底部とした.加温した部位は皮膚温の上昇がみられたが,それ以外の場所まで皮膚温の変化が認められなかった.加温具による短時間の局所皮膚加温では,大きな血流の変化が起こらない可能性か考えられた. 異なる水温及び人工炭酸泉での足浴が深部組織酸素飽和度に及ぼす影響について検討した.水温,水圧及び人工炭酸泉の影響を受け酸化ヘモグロビン及び脱酸化ヘモグロビンが影響を受ける可能性が考えらえれた.深部静脈血栓症予防としての足浴の効果としてはさらなる検討が必要であると考えられた.
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