医療法の改正や診療報酬の改定などにより、入院期間の短縮化、在宅医療の整備がすすみ、病気をかかえながら自宅で生活する子どもたちは増え続けている。周産期医療の拡充や小児医療の高度専門化、救命医療の充実などにより、救命はされたものの複雑で高度な医療を受け続けることが不可欠である子どもたちは増加しており、今後もより重症度が高い子ども、医療的ケアが必要不可欠な子どもの在宅療養件数は増えることは間違いない。 現在、災害時の在宅療養者に対する支援体制は十分とは言えず、東日本大震災でも医療的ケアが必要な方々の多くが苦慮された。防災対策の基本として「自助」「共助」「公助」がある。まず3日間自力で生き抜き、その後は互いに協力し助け合い、公的な支援を待つことになる。しかし、東日本大震災時の避難所生活の人数推移からも、自宅が帰れるであろう状況でも避難所で生活した方々が多く、自助力の低さも伺えた。 そこで今回重度の障害を抱え在宅で生活する子どもと家族が「災害時の自助力を高めるための援助」の指針を得るための資料の一つとして、看護職が「在宅患者の災害に対する備え」にどのような看護援助を必要と考え実践しているのかについて調査を行った。 調査は東日本大震災7年後に小児科病棟で働く看護師および小児看護専門看護師に実施。震災前から振り返りという形で回答してもらった。看護職は「東日本大災害前」は人工呼吸器装着児の電源確保は強く意識し準備を進めるがそれ以外、特に消耗品や薬剤について災害に対する備えについてあまり意識しておらず、退院指導で災害を想定した備えについて特化した説明や準備は行っていなかった。「東日本大災害後」は必要性は強く意識し、個別対応の重要性を認識したが具体的な個別支援は少なかった。また年数を経るごとに意識が薄くなっているのを実感しており調査をきっかけに改めてその必要性を確認していた。
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