研究課題/領域番号 |
25463317
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
習田 明裕 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (60315760)
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研究分担者 |
志自岐 康子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 名誉教授 (60259140)
三輪 聖恵 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 助教 (20457831)
笠原 康代 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (00610958)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 院内コーディネーター / 脳死臓器移植 / 倫理的対応モデル / 看護 / 終末期医療 |
研究実績の概要 |
本研究は、救命救急医療の現場における院内コーディネーター(以下、院内Co)が抱える倫理的課題を明らかにするとともに、院内Coに求められる倫理的対応モデルを構築することを目的としている。本年度は主として面接調査を行い、院内Coが抱えている倫理的課題を明らかにすることを目的とした。 語られた倫理的課題として、救命医療の現場では患者に対する視点が救命の対象から時としてポテンシャルドナーへとシフトしていくことがあるが、そこには明確なボーダーラインは存在せず、救命と終末期医療の間で右往左往する院内Coの苦悩が存在していた。また看護職であるが故に、愛しい人を看取る家族の様々な悲嘆に寄り添いたいが、院内Coとして担うべき役割も遂行しなければならず、葛藤を抱いていた。一方、脳死移植医療の現場には様々な医療職種が混在するが、人命尊重という方向性に隔たりはないものの、ドナーの家族に対するケアが、レシピエント救命という名の下に、なおざりにされているのではないかという疑念を抱いていた。さらに、ポテンシャルドナーと救命可能な患者の治療の優先順位のあり方や、院内Coのジョブディスクリプションの構築はもとより、専門職として活動できるようなキャリアラーダーや、資格化についても全く展望が見えないことに対して悩みを抱いていた。 こうした背景には、臓器移植改正に伴い、一定の要件のもと家族の判断で臓器提供することが可能になり、家族に予後不良の説明を行った上で、ポテンシャルドナーの選択肢を提示しなければならなくなったことが大きく関与していると考える。家族にとっては、最善の医療が施されても救いようがなかった事実の受け止めと、それに対する十分なケアがあってこそ終末期医療として次のステップを踏むことができる。こうした時間軸上展開される家族の悲嘆や心情を十分に踏まえた上で、倫理的対応モデルを構築することの必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度予定していた米国施設(National Association of Transplant Coordinators Organization、United Network for Organ Sharing、Columbia University Medical Center、Mount Sinai Hospital)に所属する院内コーディネーターへの面接調査が行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
海外での面接調査を早急に実施するとともに、日本における面接調査も引き続き実施し、日米における院内コーディネーターの役割・機能や倫理的課題等を比較・検討しながら、倫理的対応モデルを構築していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度予定していた海外での面接調査費が行えなかったため、それに計上していた予算が執行できず、残額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
残額については次年度早い段階で、今年度予定した海外での面接調査を行い、執行する予定である。
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