研究課題/領域番号 |
25463317
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
習田 明裕 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (60315760)
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研究分担者 |
志自岐 康子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 名誉教授 (60259140)
三輪 聖恵 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 助教 (20457831)
前田 耕助 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 助教 (40736899)
笠原 康代 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (00610958)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 院内コーディネーター / 脳死臓器移植 / 倫理的対応モデル / 終末期医療 |
研究実績の概要 |
本研究は、救命救急医療の現場において、家族に中立的にかつ権利擁護者として関わり、臓器提供を「絶望の中の希望」、つまり残された家族の看取りの一つとして捉えられるように援助することを院内コーディネーター(以下、院内Co)の重要な役割として捉えた。それに基づき院内Coに求められる倫理的対応モデルを構築することを目的とした。その結果、「倫理的実践を行うための基本モデル」、「倫理的問題への対応モデル」に分類される『倫理的対応モデル』が構築された。 Ⅰ.倫理的実践を行うための基本モデル:1.倫理的実践者としての教育モデル;①医療従事者への知識の普及・啓発における中立性の担保、②臓器提供後の事後報告におけるプライバシー保護と透明性の担保。2.倫理的調整役割としてのモデル;③所属機関の連携体制整備における倫理調整、④臓器移植Coとの連携及び支援における倫理調整。 Ⅱ.倫理的問題への対応モデル:⑤オプション提示のタイミングが難しい状況(→家族の意思の見極め)、⑥臓器提供について家族内で意志が異なっている状況(→家族ダイナミクスへの介入)、⑦時間的プレッシャーの中で家族が決断できない状況(→アドボケートとしての関わり)、⑧家族が絶望の中に希望を見出せない状況(→グリーフケアとしての関わり)、⑨家族が医療チームに不信感を抱いている状況(→コミュニケーターとしての関わり)、⑩医療者間での意思に相違がある状況(→コーディネーターとしての関わり)、⑪自分自身が死を受け入れられない状況(→終末期医療における専門性の確立)。 また、こうした倫理的対応モデルに基づいた看護実践を院内Coが行うためには、救命救急の現場における家族支援、特にICに関する裁量権や、院内・院外を横断的に活動できる組織的支援が必要であると考える。さらに院内Coの教育カリキュラムの充実や資格制度等、専門性の確立が示唆された。
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