研究課題/領域番号 |
25463323
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研究機関 | 石川県立看護大学 |
研究代表者 |
川島 和代 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (40157855)
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研究分担者 |
林 一美 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (30279905)
橋本 智江 金沢医科大学, 看護学部, 助教 (30515317)
木森 佳子 石川県立看護大学, 看護学部, 助教 (30571476)
中田 弘子 石川県立看護大学, 看護学部, 講師 (70551167)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 喀痰吸引 / 経管栄養 / 看護と介護の連携 / 感染防御 |
研究概要 |
本研究の目的は、高齢者ケアの実践現場における生活関連の医療行為(喀痰吸引と経管栄養)の担い手である看護職員と介護職員のより良い連携に向けた喀痰吸引と経管栄養に関して作成した教育プログラムを実施し、効果的な技術の習得にどのように寄与したかを明らかにすることである。 平成25年度は、研究計画の質問調査項目を明確にするために、I県における喀痰吸引等研修事業を継続開催しながら、感染防御策の実態について研修講師(看護職員)14名(内訳:特別養護老人ホーム7名、老人保健施設1名、病院4名、訪問看護ステーション2名)を対象に、ヒアリングを行なった。全対象者が所属施設において手指衛生の遵守、防護用具(プラスチック手袋、プラスチックエプロン、ディスポーザブルマスク)の導入が充実したと回答された。ただし、プラスチックエプロンやディスポーザブルマスクについてはコストの問題もあり喀痰吸引や経管栄養時の対応は、標準予防策ではなく、感染症を有する場合のみに使用されている施設が多数見受けられた。本研修時の講義・演習の内容との齟齬をきたしていることが明らかとなった。 一方で、他県における研修実態を把握するために、2県の喀痰吸引等研修事業の演習場面を視察し、研修責任者にヒアリングを行なった。関東地区のA県においては、医療機関の看護師が研修コーディネーターを引き受けていたが、感染防御策については、具体的には実施されてはいなかった。活用しているテキスト・資料等にも感染対策は、手指衛生等最小限のものであった。九州地区のB県においてもモデル人形の工夫はあったが、感染防御策はほぼ同様の傾向であった。 本研修事業において、看護職員が感染防御のための職場環境の体制整備の鍵となると考えていたが、教育プログラムの課題として介護保険施設への標準予防策の導入と防護用具等に対するコストの意識改革も必要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が、文部科学省補助金事業(大学間連携共同教育推進事業の分担校)の学内責任者の役割を与えられ、初年度~2年目の事業運営に時間を費やさざるを得なく、エフォートの配分に狂いが生じた。平成26年度は軌道修正を図りたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者は、平成23年度より介護保険施設等における介護職員による喀痰吸引等の実施が可能となった法改正を受けて、看護職員向けに指導者養成講習会と介護職員向けの喀痰吸引等の研修事業を実施してきた。その中では、感染防御対策の充実(標準予防策の導入)が課題であった。そのために、本研究では介護職員向けの感染防御の理解を高める教材開発が重要と判断していたが、平成25年度の聞き取り調査では看護職員の感染防御の意識と施設の感染防護用具に関する体制整備(コストパフォーマンス)にも課題があることが示唆された。 本研修事業の指導者養成講習会に参加している看護職員等に向けて、介護保険施設内における喀痰吸引等の実施時の感染防御に関する実態把握が必要と考えている。その上で、教材開発を行ないたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は介護保険施設等の14名の研修講師でもある看護職員に聞き取りを行い、県外2箇所の喀痰吸引等研修事業の責任者及び指導者等に聞き取り調査を行ない、感染防御に関する調査項目を明確にする予定であった。I県における介護職員向け及び施設責任者向けの感染防御に関する実態調査を実施する計画が立ち遅れ、平成26年度に移行しての実施計画としたいと考えている。 喀痰吸引を実施できる介護職員(認定特定行為業務従事者認定証取得)の在席している事業所はI県内には160箇所登録されている。平成26年度は、登録されている介護保健施設等に勤務している介護職員ならびに施設管理者に感染防御対策に関する実態と課題について質問紙調査ならびに面接調査を計画する。
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