研究課題/領域番号 |
25463328
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
撫養 真紀子 大阪府立大学, 看護学部, 准教授 (60611423)
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研究分担者 |
勝山 貴美子 横浜市立大学, 医学部, 教授 (10324419)
青山 ヒフミ 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (80295740)
志田 京子 大阪府立大学, 看護学部, 教授 (20581763)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 職務満足 / 中堅看護師 |
研究実績の概要 |
今年度は、昨年度に行った研究結果を精選するとともに中小規模病院に勤務する中堅看護師の職務満足についてグループインタビューの分析も行った。その結果を基に、職務満足に関連する概念を見出し、量的研究への準備を行った。質的研究の結果は、43のサブカテゴリ-、8のカテゴリーが抽出された。職務満足は、仕事に関する【看護する喜びを実感】【中堅看護師としての役割に邁進】、能力を発揮し成長を促す【自己開発へのチャレンジ】【看護を通して自らの存在意義を獲得】、他者との関係について【チームとしての結束力】【上司からの支援】、個々に応じた【働きやすい職場環境】、さらに【現場を変える】の8カテゴリーで構成されていた。これらには【看護を通して自らの存在意義を獲得】が密接に関わっていることが考えられた。また、インタビューでは、中小規模病院の職務満足の特徴として、人数が少なく個々の役割が明確であることから中堅看護師としての役割に邁進でき、規模が小さくやりたい看護が明確で、それに向けた自己開発へのチャレンジができる環境があることが見出された。そして、お互いの顔や行動が見え意思疎通や協力できる環境は仕事へのやりがいを後押し、中堅看護師の満足感を高めていた。一方で、働きやすい環境として融通が利く反面、体制が組織化されていないことなどが明らかになった。質的データと文献検討から、量的調査では、Professional/Occupational job satisfactionから仕事における有意義感、仕事意欲や自己に関する達成動機と自己実現、Organizational work satisfactionから仕事の量的・質的負荷、同僚や上司との人間関係、医師とのコミュニケーション、ワークライフバランスで検討を行うこととする。同時に、撫養(2013)が開発した職務満足測定尺度の信頼性と妥当性についても検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
質的に分析した結果と文献検討から、概念の明確化を行った。質的研究の結果の分析では、中堅看護師の職務満足の内容について中小規模病院の特徴を踏まえ、大規模病院とどこがどのように異なるのか、新しい知見を見出す段階に時間を要した。その原因としては、中小規模病院を対象にした研究結果が希少であることが考えられた。そのため、当該テーマについて多面的に内外の知見を集め、文献等をレビューして総合的に考察することに時間を要し、現在までの研究の達成度はやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は質的研究の結果と文献レビューから抽出した職務満足に関連する概念(要因)について量的研究を行い、最も関連する要因について明確化する。調査対象となる施設の看護管理者には、研究分担者から研究の目的と意義を説明し、同意を得ている。看護学研究倫理審査は平成27年6月に受審予定であり、審査承認後、調査を行う。調査が終了後、結果については、研究者と大学院看護管理学分野修士課程修了者と大阪府認定看護管理者委員会メンバーからアドバイスを受けながら、中堅看護師の職務満足を促す支援方法の原案を作成する。その後、原案については、大阪府内の中小規模病院の看護管理者が開催している看護管理者委員会で内容の精選を行い、作成した支援プログラムの実用性について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に予定していた量的調査は、質的研究の概念の明確化から調査内容の精選に時間を要したため、調査時期を平成27年度に延期した。また、平成26年度の年度末では病院側より慌ただしく回収率が下がることを懸念し、次年度への調査とした。そのため、物品費、人件費の使用額が、予定より少なく次年度への繰り越しとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
人件費及び謝金で、データ入力や調査用紙の作成と準備を行う。物品費で調査に関する必要物品の購入する。また、調査用紙の郵送など、通信費用で使用する。 旅費として、今年度はプエルトリコで開催される国際看護学会(Sigma Theta Tau International)で発表を行う予定である。国内においても、この研究成果を口演発表する。国内外における看護師の職務満足に関する現状と今後の展望、看護管理として必要な支援と新たな知見について、情報を収集する。様々な角度から考察するため、心理学や経済・経営学など他分野の学会に参加し、職務満足についての考察を深める。
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