研究課題/領域番号 |
25463331
|
研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
石垣 恭子 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 教授 (20253619)
|
研究分担者 |
山内 一史 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (20125967)
河村 徹郎 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 教授 (40241153)
宇都 由美子 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (50223582)
東 ますみ 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 教授 (50310743)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | EBN教育 / ニーズ調査 / 模擬講義 / デモ患者データ / 教育用電子カルテ / カリキュラム試案 |
研究実績の概要 |
26年度は、25年度管理者研修受講生からの調査のみでは偏りが生じると考え、300床規模の病院の臨床看護師からもデータを得た。その結果、回収数は、241票で回収率71.9%だった。EBNという言葉を知らないものが64.3%、看護実践の情報収集源として、ネット使用が85.1%、同僚看護師83.8%、雑誌や論文は63.1%にとどまった。また、文献検索エンジンは、医中誌の使用経験のある者は72名30%ほどで、学ぶ必要性について肯定的な意見が61%だった。統計用語では、基本統計量、t検定、χ2乗検定、相関分析等について、知っているとした者は、20%台にとどまり、学ぶ必要があると感じている者は、50%以上を占めた。昨年の調査結果と比較して、文献検索の経験者が少なかった。施設によってEBN教育への取り組みも異なるが、入職初期からEBN教育の一環として文献検索等の研修の取り入れも重要であると考えられた。また、統計ソフトは高価な物も多く、EBN環境が整備されていない施設も想定し、演習にはエクセル搭載の統計機能を使いこなすことが優先されると考えられた。さらに、これらのニーズを踏まえ、1.EBNとは 講義30分、2.電子カルテとは 講義30分、3.統計の基本 演習・講義120分(基本統計量、t検定、χ2乗検定、相関分析等)、4.データの抽出と処理 演習60分、合計240分の内容で、スーパーバイザーグループに模擬講義を実施し評価を行った。その結果、全体的な講義、演習のながれについては、肯定的な意見が多かったが、コンテンツについては看護師が親しみやすい具体例を準備することが求められた。さらに、講義より演習を重視し、短時間で実践的な分析技術が身つけられる事、電子カルテ演習と統計データ分析、看護研究、EBNの実践についての関りが理解しにくく、一貫した視点によるコンテンツの改善が必要であることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、大きく以下の3つの目標を持って研究に臨んだ。 1.臨床現場の看護師にEBN教育についてニーズを調査する。実施内容:300床規模の病院の看護師335人に対し、ニーズ調査を実施した。 2.教育用電子カルテに入力するデモ患者データを用意する。実施内容:糖尿病患者を対象として、教育入院という設定でシナリオとデモデータを50名分作成した。さらに、実際に教育用電子カルテへの組み込み実験を開始し、模擬講義で使用し、データベースについて検証した。 3.模擬講義を実施する。実施内容:8名のスーパーバイザーグループに240分の模擬講義を実施し、評価を行った。現在この結果を基に最終的なEBN教育カリキュラムを考案中である。 以上のことから、当初予定した3つの目標は大旨達成しており、27年度の作業に予定どおり継続できるものと評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度では前年度のニーズ調査の結果や模擬講義の評価を踏まえ、EBN教育を実践し、研修生の評価や意見を基に最終的なEBN教育カリキュラム試案を作成する。 具体的には、 1.模擬講義の評価の詳細分析を行い、それと同時に受講者に沿った、柔軟な教育内容と時間構成、教材(パワーポイント)について検討し、改良を加える。 2.必要な模擬患者情報などのデータベースの構築を継続する。データベース構築後は実際に教育用電子カルテシステムに登録し(一部はすでに模擬講義時に教育用電子カルテに登録し、試用済み)、登録されたデータを基に二次利用として考案したシナリオが再現可能か、研修生の意見や評価をとおして検証を行う。 3.EBNを実践する4つのステップを基にした講義内容、教育用電子カルテシステムを活用した演習など、具体的で一貫したな教育方法を考案する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
26年度の主な目標は、さらなるニーズ調査とEBN教育のカリキュラムの作成であった。共同研究者間での情報共有は当然必要であるが、岩手で山内氏が第15回日本医療情報学会看護学術大会長を務めたことで、その場で打ち合わせの時間を十分取れたこともあり、山内氏については、特段交通費が発生しなかった。また、他にも日本医療情報学会春季学術大会や日本医療情報学会連合大会でも打ち合わせ時間を持つことができ、その際の旅費はその他の研究費で賄ったとしており、その結果山内氏に関しては、旅費が発生しなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
山内氏は、27年度は研究分担者をはずれており(分担者変更承認済み)、宇都氏に旅費として新たに10万円配分する予定でる。さらに、残りの10万円は、新たに確保したフィールドでの調査や旅費として使用する予定である。
|