研究課題/領域番号 |
25463334
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
鹿村 眞理子 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (10143207)
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研究分担者 |
水田 真由美 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 准教授 (00300377)
坂本 由希子 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 講師 (20342272)
岩根 直美 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 助教 (90554527)
前田 祥子 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 助教 (70587823)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 看護学生の死の認知 / 死にゆく患者のケアの認知 / 死に対する態度 / モデル開発 |
研究概要 |
看護学生の死の認知モデルを開発する前段階として、その関連要因を明らかにした。本研究参加に了承を得た近畿地方と関東地方の看護系大学18校を対象に質問紙調査を行った。調査内容は、属性と死についての経験、自作の看護学生の死にゆく患者のケアの認知の質問紙、菅原(1984)が開発した自意識尺度、隈部(2003)による日本語版死に対する態度尺度改訂版尺度、鈴木ら(2008)が開発した多次元共感性尺度、箱井ら(1987)を用いた。分析は、ステップワイズ法による重回帰分析を行った。 結果は、3学年257件、4学年373件、計630件(回収率22.5%)の回答を得た。自作の死にゆく患者のケアの認知の下位因子は2因子でケアの志向とケアの回避であった。ケアの志向の関連要因は、身近な人の死、死についての講義、援助規範意識尺度の下位因子の弱者救済規範、多次元共感性の下位因子の他者指向性、自意識の下位因子の公的自意識、死に対する態度の下位因子の死の回避であった。ケアの回避の関連要因は、死についての話し合い、多次元共感性の下位因子の自己指向性、死に対する態度の下位因子の接近型受容、死の恐怖、死の回避であった。ケアの志向の関連要因の自由度調整済み決定係数は0.26、ケアの回避の関連要因の自由度調整済み決定係数は0.30であった。そのため、死にゆく患者のケアの認知の関連要因として、これらの項目を説明できると考えた。 今回の研究では、看護学生の死ゆく患者のケアの認知と、死についての経験や学習などからケア行動に影響を与えることが考えられる自意識、共感性、援助規範意識と死に対する態度との関連を見ることで、看護学生の死にゆく患者のケアの認知に何が関連しケアの行動化を引き起こしているのかを明らかにできたと考える。よって、看護学生の死の認知モデルの構築に役立てることができると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
関東地方10校、近畿地方8校の看護系大学の協力を得て、看護学生の死の認知に関連するについての質問紙調査を実施した。 各尺度におけるピアソンの相関係数、ステップワイズ法による重回帰分析等を行った結果、看護学生が死にゆく患者のケアを行う際にケアを実施したいという「ケアの志向」とケアを避けたいという「ケアの回避」の関連要因が明らかになったため、看護学生の死の認知モデルの開発の方向性が明確となった。 基本的なデータの解析は終了した。
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今後の研究の推進方策 |
現段階では、共分散分析を行いモデルの開発を行っているところである。さらに、死についての経験や学習による影響要因別の看護学生の死の認知の特徴についての分析を進める予定である。影響要因別の特徴が明らかになったら、看護学生の死にゆく患者のケアの行動化を促すための教育プログラムの開発に着手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
教育プログラムを開発するための資料収集、教育機材の購入、学会発表のための旅費等が必要にとなる。 資料としての図書の購入、海外文献を購読するための翻訳ソフトの購入。教育機材としては視聴覚としてipadの購入。さらに教材作成のためのトナー代、USB、キーボード、ハードディスクの購入など。資料作成のためのデータ整理の人件費。学会発表のための旅費などを考えている。
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