研究課題/領域番号 |
25463335
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
池田 敬子 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 講師 (60331807)
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研究分担者 |
鈴木 幸子 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (60285319)
辻本 和子 和歌山信愛女子短期大学, その他部局等, 助教 (70637438)
小山 一 和歌山信愛女子短期大学, その他部局等, 教授 (80109074)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スキンケア / 手指衛生 / 消毒薬 / アルギニン |
研究概要 |
微酸性アルギニンのもつエンベロープウイルス不活化活性に注目し、組織障害性の少ないウイルス不活化薬は人の粘膜表面へのウイルス感染に対する予防薬や治療薬として使えるという可能性が考えられることから、①アルギニン(Arg)と種々のポリフェノール類との協働によるウイルス不活化活性増強効果について調べ、Argがカフェ酸フェネチルエステル(CAPE)など種々のポリフェノール類のウイルス不活化活性を顕著に昂進することを明らかにした。②分子内にArgを含むジペプチド類ならびにトリペプチド類について網羅的にウイルスへの作用を調べたところ、Argの二量体が単量体よりはるかに強い活性を示すこと、この活性はpH依存性を示すこと、性器ヘルペスの原因ウイルスであるHSV2型は1型より感受性が高いこと、Arg三量体も強い不活化活性をもつことなどが明らかとなった。③Argと食品由来天然化合物(カフェ酸、アスコルビン酸、カテキン類)協働では、Argを共存させることによりこれら化合物のウイルス不活化活性が非常に大きく増強された。④Argがどのような機構でウイルスを不活化するのかを理解するため、尿素や塩酸グアニジンによるウイルス不活化作用とArgの作用様式とを比較検討した。Argはもっとも強い不活化作用を示し、高濃度ではグアニジンと同様の不活化作用を示し、Argのウイルス不活化作用が尿素やグアニジンの変性作用とは少し異なっていた。⑤医療者がインフルエンザウイルスと接触した場合、どれくらいの時間まで汚染部位に感染性が残存し伝播する可能性があるのかを明らかにするために、手指や看護衣、実験衣、医療用手袋、サージカルマスクを対象に、実験的にウイルスで汚染し、汚染部位での感染性の消長を経時的に調べた。医療衣などがIAVにより汚染された場合、長時間にわたって伝染源となりうることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アルギニンならびにアミノ酸誘導体のウイルス不活化作用について網羅的に探索し、単独でなくポリフェノール類など食物由来の天然物質との協働作用により強い不活化作用を示すことができた。得られた系統的な結果を報文化しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
エンベロープおよび非エンベロープウイルスを対象とした解析を優先的に進めてきた。今後ウイルス以外の細菌や真菌などの微生物に対する不活化作用の解析について定量的に探索していく予定である。 さらに医療および生活環下におけるウイルスが持つ感染価の維持力を網羅的に探索し報文作業を重ねていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は、共同研究者からの経済的支援があったことにより予定使用金額が少なくなったが、来年度は退職されるので繰越額とあわせた助成金額を使用する予定である。 主に消耗品と旅費に使用する。備品購入の予定はない。
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